料理通信 10月号

twitterで「ホゼさんには料理通信おすすめします~」と言われたので、素直に読んでみた。
料理通信 10月号
magazine_image_201010.jpg
(画像をクリックすると料理通信のウェブサイトが開きます)

僕、この本を知らなかったんだけど、隅々まで抜かりない内容でかなり面白い本だった。
特集では小さい店をいくつかピックアップして、小さいなりの工夫や売り方を説明して、小さい店でもぜんぜんやってけるんですよ~という話を紹介。
ただし、ここに載ってる店は都市部にあることも関係してか、意外と開業費用が高い。中には立地がかなり悪そうな店もあるのだが、1千万以上がザラだ。
数坪(それこそ5坪とか)の店を始めるのに1千万では、ちょっと目論見が狂ったら(客数が少なかったら、客単価が低かったら、回転率が悪かったら)あっという間に赤字転落という綱渡りではないのかなとも思うが、ここに掲載されている店はどれも繁盛店、儲かっているらしい。
まあ失敗例を載せるわけにもいかんだろうから、ここに出てくる店は小さい店の中のうち、最も儲かっている部類と見ていいだろう。
くれぐれも「不利な立地で小さい店でも毎日満杯ならぜんぜんやってけるんじゃんか!」などとイキオイづいて開業する人が出ないことを祈る。ちゃんとビジョンがあってやるならいいけど、こういう成功例ばかり見て「これはビジネスチャンス」などと思う能天気なタイプだと、間違いなくコケると思う。
さて、この本を読んでもっとも秀逸だと思った記事は、編集後記である。大抵の雑誌では編集長の独り言みたいなくだらないヨタ話なので斜め読み上等なのだが、この本の白眉とも言える内容だった。
引き写すとなんか著作権とかなんとかでアレかもしれないので、要旨の結論を書く。
「シェフが野菜を作ると料理に対してプラスになろうと思うが、その野菜で作った料理が美味しかろうわけがない。野菜作りはそんな簡単なものではない。また、逆に農家が料理を作るとさぞ素材が優れていて美味かろうと思うかも知れないが、料金をいただく料理もまたそんなに簡単なものではない」
ブラボーである。それぞれがプロであり、長年の経験と膨大な知識と卓越した技術を持っているわけである。料理人が片手間に作る野菜がうまかろうわけが無いし、農家をやりながら作る家庭料理が料金を取れるだけのものかどうか疑問だ。まったくその通りでぐうの音も出ない。
この編集後記を読んで、僕はこう思う。
料理人が、あるいは農家が、自家製の野菜で作る料理なら、大抵の場合そのどちらか(料理人の場合は素材、農家の場合は料理)の品質が劣るわけである。それはすなわち良い品質の素材で良い品質の料理を出した場合に比べ、料金を下げなければならない。
しかし、料理人が野菜も作っているというのはウケがいい。農家の出す料理というのもウケがいい。料金が高くても、だ。(あるいはそういったものをプレミアとして意図的に高い料金設定にしている店もある)
消費者は、イメージではなく公正な目でその商品の価値を分析し、料金を支払うべきだろう。
うまくも無いものにイメージで高い料金を支払う、おめでたい消費者がいなくならない限り、こういうナメた考え方の素人料理人や素人農家が後を絶たないのだ。
取ってつけたように最後に書くけど、この料理通信という本、すごく面白いんで、オススメです。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です