焙煎の度合いについて(あるいはSSEのコマーシャル)

コーヒーの生豆に熱をかけることが焙煎である。
焙煎の度合いによって味が変わるというのは、なんとなく皆さん経験則として知っていると思う。そのため、焙煎の度合いを風味の目安として使用することが多いと思う。
「コクのあるコーヒーが好きだから深煎りがいい」
てな具合である。
コーヒー豆の焙煎度には、一般的には8段階からなるシステムがよく用いられる。

1度 ライトロースト
2度 シナモンロースト
3度 ミディアムロースト
4度 ハイロースト
5度 シティロースト
6度 フルシティロースト
7度 フレンチロースト
8度 イタリアンロースト

このいくつかを括って、三つに分けたのが「浅煎り」「中煎り」「深煎り」である。さすがに三つに分けただけでは足りなかったか「中深煎り」などという中間の言い方をするときもある。
これらの分類の目安になっているのが、コーヒー豆の表面の色、釜から出したときの温度、それと、ハゼである。
コーヒー豆の色は、深いローストほど黒っぽくなることから目安になることはわかると思う。
また、焙煎が進行するとコーヒー豆の温度がどんどん上がっていくので、それも目安になり得る。
そしてハゼだが、コーヒー豆は焙煎するときにパチパチと音を立てる瞬間がある。それをハゼと呼んでいるが、最終的に炭になるまで焙煎するとハゼは2回やってくる。そのハゼは焙煎の進みに応じてある程度規則的にやってくるので、このハゼを焙煎の目安にすることができる。
コーヒー豆の色については、アグトロンという数値を使用して焙煎度とする場合もある。日本ではあまり一般的とは言えないが。
アグトロン社の分光光度計を使用してコーヒー豆表面の色の濃さを測定して「アグトロン55の焙煎」などと言うことがある。
さて、これらの焙煎について前提条件があることが推測できる。
熱のかけかたは、ある程度の基本ラインがあって、それを大幅に動かすことは無いのだろうということだ。
でないと、色とか温度とかで目安をつけることができなくなるからね。
短時間焙煎とか長時間焙煎とかいう言い方があるんだけど、これって裏を返せば「焙煎にはそれぞれある程度の焙煎度に達するまでに決まった時間があって、その焙煎に要する時間で区分することができる」ということだ。そして、焙煎に要する時間が決まっているということは、熱のかけかたがそれなりに決まっているということだ。
それを専門用語で言えば「焙煎プロファイルは大きく変えない」ということだ。
つまり、コーヒーの生豆の状態から焙煎した状態にするまでの熱のかけかたは、ある一定のラインがあって、そのライン上のどこで釜から出すかということで浅い焙煎から深い焙煎を作り出しているということだ。
なんかややっこしい言い方になってしまったけど、簡単に言えば、1000ワットのオーブントースターにパンを入れて、タイマーを何分にセットするかで焼き加減を調整するということと同じだ。普通、1000ワットを途中で500ワットや800ワットに切り替えたりしないよね、そうすると3分で焼いたときにどのくらいの焼き加減になるか当てずっぽうになっちゃうもんね。
というわけで、焙煎する人によって焙煎のプロファイル(熱の量やかけ方)は違うけれども、焙煎する人はたいてい、大きく変わらないプロファイルで浅煎りから深煎りまで焼いているということだ。
さて、ここで疑問がある。なぜプロファイルが一定になりがちなのだろうか。
その答えは・・・と引っ張って、特に答えは用意していないのだが。
たぶん、一定のプロファイルを作って、そこに微調整をしていくというのが、面倒がなくていいということはあると思う。
そしてもうひとつは、その焙煎者にとって「美味しい」プロファイルというのがおのずと決まってくるのかなあと思う。
ま、想像だけどね。
そして、一定のプロファイルの中で、どこで釜から出すかということで焙煎度が決まるわけ(言い換えると、どの焙煎度にするかで釜から出すタイミングを決めるということ)。
プロファイルがおよそ一定であれば、焙煎の度合いは釜から出すタイミングである程度固定できる。たぶんだけど、だから一定の決まりごとみたいな感じで焙煎度合いを決めても不都合が無いわけなんだろうなあ。
こっからが本題。というかコマーシャル。
僕が焙煎を始めたのはついこないだなんだけど、いろいろ勉強したりいろんな人に焙煎の話を聞いたりしながら焙煎していく中で、どうにも越えられない壁があった。
それは、焙煎にはセオリーがあるね、ってこと。そして、焙煎にはセオリーが無いね、ってこと。
何を言ってるんだという話なんだけど、例えば、こういうことなんだ。
ある程度良い結果が出る焙煎方法の場合は、どんな焙煎方法にしろ、そのほとんどの方法は、すでに誰かが試している。つまり、どんな方法にしろ、セオリー通りである。
しかし、それはつまりどんな方法にしろ一定のセオリーなど無いってことでもある。
焙煎そのものの歴史が長いために、過去に試すことができたであろう方法は、どっかの誰かがすでに試しているってことなんだ。そうすると例えば「投入温度が高ければ」「焙煎時間を長くとれば」「遠火の強火にすれば」「排気を多くすれば」「釜のサイズに対して少なめに投入すれば」・・・どんな疑問もたいていは答えが用意されているってわけ。つまりはどんな焙煎方法も、あらゆるパラメーターの組み合わせに過ぎず、その個々のパラメーターの変化に対する答えはおおよそ想像がつく(というか実験されている)わけなんだ。
この、セオリーというものの存在が僕の目の前に大きな壁となって立ちはだかった。
セオリー通りにやろうとすると、正解がわからなくなるんだ。
例えば、短時間焙煎と長時間焙煎。風味に対してどっちもメリットがあり、どっちもデメリットがある。これは同じコーヒーを二つの条件で焼き比べるとわかる。どっちがいいってもんじゃないんだ。でもこれ、どっちもある意味セオリー通りなんだよね。だからこそ、短時間の人と長時間の人がいるわけだけどね。
じゃあどっちにすべきなの?
どっちに「すべき」ってもんじゃないんだね。どっちでもよろしい。どっちも正解。対立するふたつの方法がどっちも正解。その間を取った中時間焙煎(という言い方があるかどうか知らないけど)も、もちろん正解。全部正解。
ほら、困っちゃうでしょ。どれも正解なのにどれかに決められないよ。
釜の初期温度は? 排気はニュートラル?引きを強く?こもり気味で? 投入量はキャパいっぱい?半分くらい? ・・・もうどれもこれも正解なんだよね。正解がありすぎて困るんだ。
そして、どの正解を採用するかで同じような色になったコーヒー豆も風味が違ってくるんだから「この色はシティ」とか「2ハゼ入ってすぐおろしたからフルシティ」とか言えないと思うんだ。だって、同じような色でもパラメーターを変えれば(プロファイルが違えば)、風味が違ってくるもんね。
というわけで、サンシャインステイトエスプレッソの焙煎部門ではプロファイルはもう焙煎度というのにこだわるのはやめようと思うのです。
++++ ここからがほんとにコマーシャルタイムです ++++
サンシャインステイトエスプレッソの焙煎は、4タイプ。

Mercury Roast
フレッシュ感を特に取り出した焙煎、キレのある口当たりをお楽しみいただきます。
Venus Roast
明るいキャラクターで華やかな雰囲気を持っています。特にコーヒーの持つ果実感を重視しています。
Earth Roast
バランスが取れた焙煎、飽きのこない毎日飲める風味特性を目指しています。
Mars Roast
ミルクとの相性がよく、アレンジドリンクにも向きます。マイルドで落ち着いた風味はアイスコーヒーにも適しています。

浅いとか深いとかじゃないです。こーゆー焙煎です。何度とか、排気はとか中点はとか聞かないでください。
正解はひとつじゃない。だからこそ、僕なりの焙煎をしていこうと思います。
SUNSHINE STATE ESPRESSO Roasting Dept.をよろしくお願いします。


15 thoughts on “焙煎の度合いについて(あるいはSSEのコマーシャル)

  1. ウ~ム!
    深く頷きました。お書きになっているとおりですね。
    私は焙煎の師匠に作っていただいた、ガス圧、排気を付けカスタマイズされた煎っ太郎を使っています。煎っ太郎は500g焙煎機で、師匠は私が煎ったのを試飲して500gで問題ないとおっしゃいます。
    でもある焙煎士さんは燻り臭いから豆を少なくしてみると良いですよとおっしゃいました。
    初めて豆を減らし350gを焙煎したとき500gと同じような行程で焙煎したら、ハゼも早くシティの上がりも早くなりました。・・・・が試飲するといがらっぽく雑味が残って水抜きがうまくいっていないというのが分かり、次の焙煎は500gの時と同じようにしましたらホントに美味しいのができました。香りも味も500gの時よりグッとアップしました。(私が渋み、雑味を感じた豆は焙煎士さんは問題ないですよ。美味しいと・・・)
    以前豆屋さんで焙煎教室に参加して飲んだコーヒーが喉に引っかかり、そのことを質問しましたら「そういう人もいますね」で終りそれ以上質問できませんでした。
    先日別のコーヒー教室では「早く飲んでしまいたいコーヒーの焙煎、長持ちさせたいコーヒーの焙煎がある」とのお話。高い温度で短時間で焼くと早く、じっくり焼くと長持ちというような・・。
    エッ?短くして雑味の残らない焙煎ができるの??とまたまた疑問で一杯になりましたが、質問したら焙煎教室ではないのでスルーされてしまいました。
    シロウトなんですがチャンとした焙煎の勉強がしたいですぅ・・。でもこの先購入するとしてもせいぜい11k焙煎機止まりなので、東京の某焙煎教室に参加するのは大げさすぎるんですぅ・・。
    なぁんて。。一杯ぼやいてすみませぬぅ~。

  2. 難しい話ですねえw
    僕も本文中で書いてますが、パラメータの数が多すぎることと、正解が無いことが話をややこしくしているんだと思うんです。
    例えば、燻り臭いという話ですが、豆の量を減らしたことでさまざまなパラメータを動かしているので、いったいどれが燻り臭さを減らした原因かが特定できないわけです。(プロファイルを同じにしたら豆の量が増減しても同じ味になるわけではないです)
    というわけで、結局検証するにはすごい手間がかかるんでみんな経験則で言うわけですね。この場合は「燻り臭いから豆を減らせ」ということなんですが、それって、単に豆の量を減らすだけではなく、焙煎環境からして豆を減らしたことによる関係する条件の変化が総合して焙煎結果をよくするだろうという意味合いで言ってると思うんですね。
    ちょっとややこしい話ですいません。
    しかし、ここが重要で、例えば短時間焙煎で香りがよくなる、長時間焙煎で口当たりがよくなる、というのは、単に時間を増減すればいいという話ではなく、時間というパラメータを動かすことで関係するいろんなパラメータをちゃんと動かして、結果が良くなった場合にはそれぞれのメリットが出現するということだと思うんです。
    短時間で雑味の残らない焙煎もできると思いますよ。その場合、雑味が残らないけれども味がしないとか香りが無いとかいう副産物もあるかもしれません。パラメータをいじるというのはそういうことだと思います。
    僕も勉強中なので、いろんな焼き方で焼いて、飲んでいます。とにかく、ひとつのパラメータを動かすだけで味が変わるんで、面白いです。
    基本が出来てれば、それ以上は誰かに教わるより、いろんな焼き方を試して確認していったほうが、よほど勉強になると思いますよ!

  3. お久しぶりです。
    僕のようにあまり頭良くないのに、複雑なものが好きな輩には、焙煎は面白すぎます。
    まだ、一向に飽きません。
    あまり奥が深すぎて、最近は神経質にならずに焙煎してますが、たまに偶然で当たり焙煎になります。失敗焙煎も楽しんでます。

  4. お尋ねします。
    ひょっとして最近発売された「珈琲時間、旅するカフェ」に紹介されていませんか?
    素敵な移動販売ですね。

  5. 「珈琲時間」の記事を拝見していてアラッ!と気が付きました。
    ホームページも初めて拝見でアララと思いました。
    全然知りませんでした。

  6. 珈子さん、こんにちは。
    そのひょっとしてですw 巻頭4ページの特集をいただきました。ありがたい話です。
    ぼちぼちと活動しております。お近くにいらしたらお立ち寄りくださいませー^^

  7. arさんこんにちは、返事遅くなって申し訳ないです。
    僕も化学の知識があったりとか機械ものが好きだったりとかするんですが、自分のアタマで考えて結果がその通りにならなくてめちゃめちゃ面白いですねw
    失敗も楽しいです。その原因を考えて次に生かす・・・そういうタマネギの皮を一枚一枚はいでいって核心に迫ってくような感じが楽しいです。
    僕も肩肘張らずにやっていこうと思います^^

  8. 人生終わるまでには極めたいものです。
    どこまで核心に迫れるか、楽しみでもあります。
    しかし、ホゼさんほどは真剣に取り組んでないので、気持ちだけ焙煎小僧です(笑
    くず豆の選別も自信がないレベルです(恥
    また、何か新しい発見があったら、読むのを楽しみにしております。

  9. arさんも僕もそんなに変わらないと思いますよw 結局、楽しくて焙煎しているワケでw
    また焙煎で気付いたことあったら書きますね^^

  10. ホゼさん、いきなりですが、Oscarの手入れについて質問させてください。
    除石灰はどのくらいの頻度でしてますか?
    いきなりで申し訳ないです。

  11. arさんどもども。
    デスケールは、使う水によってかなり違ってくると思います。
    ウチは浄水器通った水しか使わないので、二、三年に一度のOH時に行うので十分だろうと考えてます。

  12. 早速の回答ありがとうございます。
    私も、ポット型の浄水器ですが、それを通した水しか使っていません。
    実はまだoscarの調子が戻っていなくて、店に問い合わせると、お湯の出が安定しないのは石灰のせいだというんですよね。
    私はホゼさんと同意見なので解せないわけです。
    トーエイ工業で代理に請け負ってくれるということなので、問い合わせてみます。部品交換ならば保証期間中は無料みたいです。
    クリーニングなら有料らしいです。本当でしょうかね?
    もしも本当なら個人輸入したほうが明らかに得ですね(笑

  13. arさん、まだオスカーの調子が悪いのですか、困りものですねえ。
    スケールでお湯の出が悪くなると言う場合、悪いまんまになりそうですよね。安定しないというのはちょっとおかしいような・・・ ま、わかりませんけど。
    それに、そんなに早くスケールが配管の中に蓄積されるというのもちょっと考えにくいですね。パイプの折れや接続部のつぶれなんかがあるのかもしれませんね。
    ちなみに、正直にトーエイさんに持っていく場合、平行品はユーザー登録をしないと診てもらえません。何かコネがあれば別ですが、それは特別な場合でしょう。
    ユーザー登録に費用がかかるので、普通は、平行品の場合は、無料ということは無いです。
    それにしても、オスカーは非常に良いエスプレッソを抽出するマシンなので、早く完全な状態になって、そのすばらしい性能を堪能していただきたいと思います。

  14. こんばんは
    トーエイの回答はこんな感じでした。
    1部品交換なしの点検調整で済む場合。
     ⇒ 契約料¥50,000-+技術料¥10,000-+梱包・送料¥5,000-
                                       = ¥65,000-
    2.ポンプの交換修理の場合。
     ⇒ 契約料¥50,000-+技術料¥15,000-+部品代¥7,000-+
                         梱包・送料¥5,000- = ¥77,000-
    3.ポンプと3方向バルブの交換修理の場合。
     ⇒ 契約料¥50,000-+技術料¥20,000-+部品代¥14,100-+
                         梱包・送料¥5,000- = ¥89,100-
    これなら送料を自腹しても、伊で保証期間に修理してもらった方が得です。
    来週にでも着払いで送れる様に交渉するつもりです。
    報告まで。

  15. やっぱりですね。トーエイさんで並行品を修理すると高くなりますよね。
    購入元で「不良品」ということで修理または交換というのが良いと思います。
    明らかに、動作が不良ですものね。
    早く完全な状態でエスプレッソが楽しめるようになることを祈っております。

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