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エゴレスコーヒーのための十戒

今回は、ビジネスとしてコーヒーを扱っている人に向けてのお話です。
コーヒーは嗜好品であるので、しばしばそのクオリティについてエゴイスティックになることがある。
自分だけを信じ他人の言うことを聞かなくなる状態だ。そこにはうぬぼれや過信があり、自分の経歴や経験から引き出したものしか採用しなくなる。誰かに批評されたり間違いを指摘されるのを嫌う。
そのような状態にならないように(あるいはなってしまったとしたら速やかにそこから脱出できるように)、積極的に批評やアドバイスを受け入れるようにしよう。
自分の作ったコーヒー(焙煎した豆でも抽出した液体でも)を他人に見てもらい、改善点を積極的に指摘してもらう。焙煎や抽出を評価する側も評価させる側も「自分の方が優れている」などといった自尊心を捨て、純粋に「より良いものを作る」という意識を共有する。
そのための良い指標が以下である。

「エゴレスコーヒーのための十戒」
1.あなた自身も間違いを犯すということを理解し受け入れよ。
2.あなたの作ったカップはあなた自身ではない。
3.あなたがどれほど“カラテ”を学ぼうと、まだほかに達人はいる。
4.相談なしに焙煎や抽出メソッドの作り直しをしてはならない。
5.あなたよりも無知な人にも尊敬と敬意と忍耐をもって接しよ。
6.世界で唯一変わらないことは、変わるということだけである。
7.本当の権威とは地位ではなく知識から生じる。
8.自ら信じるもののために戦え。ただし、負けは潔く受け入れよ。
9.“部屋に籠りきり”になるな。
10.人ではなくコーヒーを批評せよ - 抽出者、焙煎者には優しく、コーヒーには厳しく。

これは僕のオリジナルなアイデアではなく、ジェラルド・ワインバーグの作ったリストである。
オリジナルの「エゴレスプログラミングのための十戒」はこちら。

「エゴレスプログラミングのための十戒」
1.あなた自身も間違いを犯すということを理解し受け入れよ。
2.あなたの書いたコードはあなた自身ではない。
3.あなたがどれほど“カラテ”を学ぼうと、まだほかに達人はいる。
4.相談なしにコードの書き直しをしてはならない。
5.あなたよりも無知な人にも尊敬と敬意と忍耐をもって接しよ。
6.世界で唯一変わらないことは、変わるということだけである。
7.本当の権威とは地位ではなく知識から生じる。
8.自ら信じるもののために戦え。ただし、負けは潔く受け入れよ。
9.“部屋に籠りきり”になるな。
10.人ではなくコードを批評せよ - コーダーには優しく、コードには厳しく。

ほとんど書き換えることなく、コーヒーについても当てはまると思い、すこし改変したのがエゴレスコーヒーのための十戒である。
どのひとつを取ってみても、そういう態度を取れるかどうか、非常に怪しいところである。
普段どんな態度を取ってしまいがちか、例示してみる。

「エゴコーヒーのための十戒」
1.自分は間違ってない
2.誰かの淹れたコーヒーは彼(彼女)自身であるのでコーヒーの欠点をもって彼(彼女)を否定する
3.自分だけがこの味を取れる、この違いに気が付く、この理論を知っている
4.メソッドの一部を変えるように一方的に押し付けた
5.自分より無知な人や経験の浅い人に対して上から目線になる
6.何もアップデートせずに変化を拒否しているものにこそ価値がある
7.地位のある人に権威を感じる
8.流行に乘り、負け惜しみを言う
9.よそのコーヒーを飲まない
10.コーヒーではなく人や店を批評する - コーヒーよりも人や店を厳しい目で見る

笑えない笑えない。こんな態度を取りがちなんじゃないかしら。そうだとしたら怖い、こんな人に淹れるコーヒー飲みたくないよって思わせるに充分なリストになっちゃった。
というわけで、コーヒーはエゴレスでありたいものです。ビジネスでコーヒーを扱うならば尚更に。


Published in ビジネス