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コーヒーを行商で販売するには

都会の道端で見かけるお弁当の行商。

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写真は「はまれぽ」さんよりお借りしました。
お弁当の行商について、法律的にどうなのかとちょっと興味深い記事を書いておられますので、こちらもご一読いただくといいかなーと思います。
横浜駅西口付近でよく見かける路上販売の弁当屋は、正規の手続きを取って販売しているのでしょうか?(BOSSさんのキニナル)
敷地の使用許可は得ずに販売していることが多いようです。

中には、保健所の義務違反を犯している露店もありました。

よくこういう形態でお弁当を販売しているところがあるのだが、これをコーヒーでやろうと思ったらどうなるのかという話。

◆     ◆     ◆

オフィス街に颯爽と現れる、自転車やカートのコーヒー屋さん!
コーヒーを淹れる器具一式とコーヒー豆だけを持って、ふらりとあちこちの街角に!
ほんとうに美味しいコーヒーを気軽に、どこでもサーヴィス!

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こういうの!こういうのやりたいの!
(写真について詳しくはこちら)

行商といえば保健所の管轄であるわけで、疑問に思ったら保健所に話を聞くに限る。
というわけで、保健所でそのへんのところを詳しく聞いてきたわけだが、相談開始してものの1分で・・・

コーヒーの行商はほとんど不可能に近いことがわかりました。皆さんもコーヒーの行商は諦めてください。チャンチャン。

・・・で終わらすのもなんなんで、その理由をば以下に詳しく書いていきます。興味ある方は参考にしてください。

※以下の内容は僕が実際に保健所さんに行ってお話を聞いてきた内容をもとに書いていますが、内容に関して記憶違いなどがある可能性がありますので、実際に行商等についてよく知りたい方は最寄りの保健所におたずねいただくほうがいいと思います。

えーっと、まず保健所さんに「自家焙煎店のコーヒー屋をやっています。自分ちのコーヒーの行商をしたいんですけどどうしたらいいですか?」と聞いたらあっさり「できません」て言われて、それは何故かと聞いたところ「行商」する品目にはきちんと定義があるだそうだ。

・菓子
・アイスクリーム類
・生きているものを除く魚介類およびその加工品
・豆腐およびその加工品
・弁当類
・ゆで麺類
・惣菜類

で、コーヒーは・・・無い。保健所が定める行商の品目の中にコーヒーが無い以上、コーヒーを行商するというのは「法律的にあり得ない」のだというのだ。

コーヒーを注いで提供するというのは衛生的ではないということ、それと、コーヒーを淹れて売る場合は喫茶営業の許可を取って下さい(行商ではなく移動販売で、つまり車両で)というのが保健所さんの主張。なるほど、確かに「注ぐ」という部分で外気に触れるしリスクはあるよね。抽出ということになると喫茶営業か、それも一理ある。

とは言っても、じゃあしょうがないですねー、と引き下がるわけにはいかない。どうにかコーヒーを行商する方法は無いかと根掘り葉掘り聞いてみた。
担当の方が言うには、コーヒーというものが品目に無い以上、新たに法律を作ることになるので、コーヒーを行商するのはほぼ不可能であるのだけど、抜け道というか手は無くはないという。
なんだそれを早く言ってくださいよ、そんな抜け道があるんなら早速やりますよそれどんな方法なんです?

「コーヒーを缶なり瓶に詰めるような工場を作って食品衛生法で定められた許可を取ってください」

え?話が大きくなってるんですが・・・
僕はじぶんちのコーヒーを街行く人にサっとサーブしたいだけなんですけど・・・
ちょっとコーヒーを行商したいからってコーヒーを缶づめにする工場作るの無理です・・・

「大手飲料メーカーのコーヒーであれば、行商することはできますよ。どこかで購入した缶入りのコーヒーであれば保健所とは関係がありません」

それ人力で移動する自動販売機ですよ・・・
わかりました、缶コーヒーを行商するために工場を新設するんであれば保健所の許可が要るけど、どっかの工場で作られた缶コーヒーならそれは保健所関係ないよってことなのね・・・

と無理問答みたいな会話が続くうち、ちょっと頭の中に疑問が沸いてきた。
以前、街角で弁当を販売している業者さんが、弁当にスープを付けていたのだ。

あれ?スープを弁当に付けるんならコーヒーを付けてもいいんじゃない?

「缶コーヒーならば問題無いです」

いやいや、ポットに入れたコーヒーを注いで付けてあげるんです。料金はお弁当に対して発生します、コーヒーはサービスです。どうです?
(もしこれがOKならお弁当にサービスのコーヒーとお菓子にサービスのコーヒーというのは違いが無いハズだから、お菓子を売ってコーヒーを付けるというのができるハズだ。てことはお菓子とコーヒーをセットでいくら、という感じで「代金はお菓子代として頂戴します」ってのができるハズ!)

「サービスかどうかは関係なくポットから注いでっていうのは衛生的ではありません。ダメです」

じゃあお店で一つずつカップにフタを付けた状態で持って出て、それを配るというのは?これなら注ぐという行為は発生しませんけど?

「お店で注ぐというところがダメです。食品衛生法に定められた許可を取った飲料を缶詰する工場を(ry」

なるほど、ここで振り出しに戻るのか。結局、行商の品目にコーヒーが無い以上、許可は出ないのだ。
お弁当に付くスープは、サービスであろうが有料であろうが、行商の品目にお弁当というのがある限り、スープを付けようが味噌汁を付けようが問題無し。コーヒーを付けるのはダメ(←コーヒーはお弁当じゃないよね、ということ)。

よくわかりました。行商でコーヒーを売ることはできないのですね。はい。
というわけで、たぶん1時間以上行商について議論した結果が諦めろだったためガックシと肩を落としつつ保健所を退散しようと思ったんだけど、最後にひとつ疑問に思ったことを聞いてみた。

移行しながら販売するって書いてますけど、これ実際には止まって販売してますよね?

「いや、行商は止まって販売してはいけないのです。販売しているものの受け渡しと代金の受領程度の時間は止まらざるを得ないと思いますが、それ以外の時間は常に移行していることが必要とされます。形態は違いますがちり紙交換の車みたいなものです。路上で止まって販売したら道路を占有するということになり、警察などの許可が必要になるはずですし、私有地内でも止まって販売していたらそれは行商になりませんので引き車による営業許可を取っていただくことになります。ただし引き車の申請が来た場合はできるだけ車両による移動販売に切り替えてもらうように指導しています」

えええ? そうなの? 街角でお弁当を販売している業者さんって台の上にお弁当積んで販売してますが、あれは違法ということなのか。

というわけで、保健所さんに聞いてきたコーヒーの行商に関するまとめ。

・コーヒーの行商で許可が出るのは大手飲料メーカーの缶コーヒーを売る場合のみ
・コーヒーを引き車で販売する喫茶営業の新規の許可は非常に出しにくい
・以上のことから、コーヒーを固定店舗以外で随時移動しながら販売するという場合は、車両を使用した移動販売車で喫茶か飲食の許可を取るしか選択肢が(ほぼ)無い

けっこうがんじがらめです。こういう形態でやりたい、っていうイメージは個々にあると思うんだけど、それらのイメージは必ずどこか法律に引っかかってしまい実現のためには法律に定められている形に修正をしなければならず、最終的に車で移動カフェをやるというところにしか着地できないような気がする。面白いアイデアがあってもほとんどのケースで実現はおぼつかないのではなかろうか。屋外で移動しつつコーヒーを売るってけっこう自由度が低いなあというのが話し合いの末の印象。

これから無店舗でコーヒーを売ろうと思っている人の参考になればと思います。


Published in ビジネス

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