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グレインプロの不都合な真実

コーヒーの生豆が生産国からどのような荷姿で来るか、というと、普通イメージするのは、麻袋か樽だろう。

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ちなみに、コーヒーの荷姿でよく連想される「樽」は、ジャマイカのブルーマウンテンの専売特許であり、ほかの産地で使用することはできないのだそうだ。
麻袋のほうはもちろん、世界中の産地で使用されているわけで、一般的な荷姿と言えば麻袋だろうかと思われる。

この麻袋であるが、丈夫で安価なのはいいが、麻を編んだだけの袋であるからしてやたら通気性に優れすぎて、外気に影響されやすいことや虫などの被害にあいやすいことが欠点である。
そこで、高品質なコーヒーの生豆を保管、輸送するために考え出されたのが、外気との接触をシャットアウトして、品質の保持を狙ったパッケージである。
アルミのバキュームパックや、プラスチックバッグ入りで段ボール箱に入れられたものをご覧になられたことがあるだろうか。これらは、麻袋ではなく段ボール詰めになっているので、パッと見てもコーヒーとはわからない荷姿である。
そしてもうひとつ、麻袋に入っているので見た目は変わらないが、中身は外気と接触しないように麻袋の中にもう一枚、袋を入れているものがある。それ(の代表的なの)がグレインプロと呼ばれるものである。

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厚さ78ミクロンのポリエチレン製のこの袋は、70㎏までの重量に耐え、虫の混入を防ぎ、水分や酸素をシャットアウトするのだそうだ。
従来の麻袋のハンドリングや使い勝手、梱包にかかる費用をなるべく維持しつつ、劇的に品質保持能力を高めるこのインナーライナーは、スペシャルティグレードのコーヒー生豆には欠かせないアイテムとなっている。

価格は非常に安価で、麻袋のインナーライナーなのでハンドリングは従来通りで変わらず、なおかつ高価なアルミのバキュームパックに近い品質保持性能を有するとなれば、これはとても優れたソリューションであると言わねばならない。

・・・もし、看板通りの性能を発揮するのであれば、の話だが。

というわけで、ここまでがグレインプロのタテマエ、以下がグレインプロの真実である。

グレインプロが品質保持において非常に優れたソリューションであることは、間違いない。水分や酸素の透過を防ぐので、品質が劣化していくスピードは、ただの麻袋に比べてはるかにゆるやかである。

・・・もし、袋に穴が開いてなければの話だが。

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あいてるあいてる。でかい穴があいてる。
こんだけでかい穴があると、空気も水分も出入りし放題である。せっかくのグレインプロなのに穴が一つあいているだけで台無しである。

そしてグレインプロの袋をよーく見てみると。

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こんなにあいてますか・・・

これでは空気や水分が出入りし放題な上に、豆もザラザラとこぼれてしまうに違いない、というわけで、グレインプロを引き抜いた麻袋の中を見てみると。

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どんだけ豆がこぼれちゃっているんだと。

グレインプロ社が言う性能が発揮されるのはもちろん、袋に穴があいていない状態ならということである。穴がある時点で、その性能がフルに発揮されるわけがない。穴から空気や水分が出入りするだろうし、グレインプロからこぼれた豆は、ただ麻袋に入っている生豆と同じ状態にあるわけである。

繰り返しになるが、グレインプロはとても優れたアイデアであり、品質保持に対して非常に効果的なアイテムであることは間違いない。
しかし、輸送の途中で穴があいてしまったら、本来の性能を発揮できないのである。
僕の体感で、5割以上のグレインプロが大なり小なり穴をあけられて届く印象である。せっかくのグレインプロなのに、麻袋のクチを切ってグレインプロとご対面したら穴だらけ、ということが本当によくある。
破けるのはほとんど運搬の途中なのであるからして、事故を防ぐために麻袋にデカデカと「中にもう一枚ビニール袋が入ってますので運搬は慎重に」とか書いたほうがいいのではないだろうかと思う。なにせ60㎏70㎏という重量の荷物を、配送便の人は一人で荷台から降ろして台車に乗せて店内で指定されたところに下ろさなきゃならないのだ。エイヤーと気合で運べば、そりゃ多少乱暴になって中の袋を破っちゃうような運び方になるのも仕方ない気がしないでもない。と言って、それでせっかくのいいアイデアが、穴ひとつで台無しになるのは勿体なくてしょうがない。
どうにかならないものだろうか。


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