このブログを読んでいる皆さんの中には、コーヒーについてかなり知識を持ち、最新のコーヒー事情にも通じているという方も少なくないと思う。先日、メルボルンでコーヒーのショーがあった際にそちらで最新コーヒー事情に触れてきたという方もいらっしゃるだろう。
しかし今回紹介する「リテンションフィルター」については、ご存知ない方ばかりではないかと思う。それほどに、最新のできたてほやほやのアイテムなのだ。
ハリオV60用のフィルターは紙もあり金属もありプラスチックのメッシュのものもあり、もちろん純正品もありサードパーティ製のものもありと、まさに選び放題、選択肢が多すぎて悩んでしまうほどである。
そんなV60用フィルターマーケットにまた新しく、期待の新星が現れた。それがこの「リテンションフィルター」である。
金属と紙のハイブリッドというのは、数あるV60用フィルターの中でもこれが初ではなかろうかと思う。そしてオーソドックスながら最適な抽出のための液体のフローを考え実現した形状を持っている。この最適な抽出のために、異なる素材のハイブリッドが必要不可欠であったわけである。
ポリッシュされたアルミを多用したメタリックな質感は高級感があり、しかし紙の部分があることで無機質な見た目とはならず、あたたかみのあるデザインになっていることも見逃せない。
と、講釈はこのくらいにして、実際に写真を見ながらじっくりと解説して行こう。
まず、ハリオ純正の01用ペーパーを用意する。そして、同じ出来上がりサイズになるように折りシロを見越してふたつ折りにしたキッチンホイルをカットする。
なにやらいきなり話の雲行きが怪しくなってきたが、このフィルターはどこに売ってるわけじゃなく、いわば「ちょっと変わったフィルターを自作してみたよ」的な話である。
それでも読んでみようと思う方は、下に進んでいただきたい。
接合部の折込をしっかりすること、それとサイズをきっちり同じにして密着性を高めるために、ハリオのフィルターと重ね合わせて折り目をつける。
そして接合部を二重に折り返して、アルミのフィルターカバーの出来上がりであるのだが、もちろんこれではお湯が通るわけないので、お湯の通り道を空けてあげる。というか、このアルミの部品はお湯の通り道を阻害する壁になるべきパーツである。
下から三分の一ほどをカットする。
このようになり、ペーパーフィルターと、その上部のお湯の流れを阻害する壁が出来上がった。
上から見てみると、こうなる。
フィルターを湯通しする人も多いのではないかと思うが、今回は特に湯通しが重要である。ペーパーが濡れていると、アルミのパーツが密着するからである。
実際に装着してみると、こうなる。
並べてみた。
それでは実際に抽出してみよう。
コーヒーはホンジュラス、グッドバランスで果実感もあり長く余韻の続く良いコーヒーである。
今回は、20gのコーヒーに対し、湯温95度で加水200g、注湯開始後45秒を蒸らしとした。そして200gのお湯を投下後、落ちきったところでドリッパーをはずすということにした。
リテンションフィルターのほうは、ろ過面積が圧倒的に狭いため、通常はフレンチプレス用になる程度の粗めの挽き方にした。
一方、ハリオ純正フィルターのほうは通常の挽き目である。
※iPhoneのカメラで撮っているため、ホワイトバランスとかめちゃめちゃなのはご容赦ください
ハリオ純正ペーパーのほうは、オーソドックスな抽出を心がけた。
一方、リテンションフィルターのほうは、ろ過部分が下部にあり、しかも狭いために、注湯方法がまったく異なったものとなる。
・壁際にじゃんじゃんかけて良い
・対流するようにお湯を注して良い
・真ん中から円を描かなくて良い
・お湯を注ぐスピードは気にしないでいい
・水面の高さは気にしない
極端に言えば、ハンドドリップでよく言われる禁忌を片っ端からやっていい、というようなメソッドである。
抽出の時間は同じになるように、メッシュと壁の高さを調節してあるので、ほぼ同じタイムで落ちきった。
ハリオ純正ペーパーのほうは、残ったコーヒーの粉がよくあるペーパードリップ後の形になっていることがわかる。
しかし、リテンションフィルターの場合は、まっ平らである。そりゃそうだ、この注ぎ方ならそうなる。
そしてできたコーヒーである。もちろん、見た目は変わらない。
それでは気になるリテンションフィルターの風味のチェックである。
リテンションフィルターで淹れたコーヒーは、ハリオ純正に比べ、ややあっさり目の出方となった。抽出そのものはよくできているが、粗めに挽いたことによるさっぱり感が出ている。後味もクリーンであったので、より軽い味わいに感じた。ハリオ純正はしっかりと抽出されており厚みのある風味に感じたが、やや喉に残るような後味であった。甘さも、ハリオ純正はねっとりと粘るような甘さを感じたが、リテンションフィルターはすっと消えていくような甘みであった。
ろ過面積を制限することで思い切った粗挽きを可能にし、上部を壁で覆うことにより注湯に繊細さを求めなくても良くなった。結果的に、純正フィルターとはかなり違った味作りをすることもできたし、なかなか良いシステムであると言える。
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円錐ドリッパー用最新型フィルター「リテンションフィルター」を試してみた
Published in カフェ用品