またしてもの音楽ネタからのスタート。
マイケル・ジャクソンの「Beat it」をパロった「Eat it」でおなじみのアル・ヤンコビックが(おなじみなのかどうかはあなたの年齢によります)、ロビン・シックとファレル・ウィリアムスの2013年の大ヒット曲「Blurred lines」をパロって「Word crimes」を発表、早くも話題になっている。
最近の若いもんの英語は乱れとる!とばかりに、流行りのネットスラング的な使い方や、省略形、例えばyouをuで置き換えたり(I love uなど)、sを5で置き換えたり(5evenなど)とか、間違った覚え方をしている綴りや発音、不適切な文法などを取り上げた詞をBlurred lineの曲に乗せて曲にしている。
もうかれこれ30年くらい、パロディーでメシを食ってる第一人者のアルだけに、この曲も完成度がめちゃ高くて笑える上に、よくまあ歌詞をメロディに乗せたもんだなあと感心してみたりして、ついでにこれは英語の勉強になるなあなどと一粒で三度も美味しい素晴らしい曲である。
で、なんでコーヒーのブログでアル・ヤンコビック大先生の話かと言うと。
この曲の中で1分41秒のところからのくだりだが、ここに「No X in espresso」という歌詞が出てくる。
espressoとexpressoというのは、割と頻出の間違って覚えやすい単語の例として挙げられるようで、「No X in espresso」または「There is no X in espresso」で検索するとたくさんのページがヒットする。
ちなみに画像検索でよく出てくるのがこちら。
誰が作ったのかはわからないが、かなりネット上で普及しているポスター(?)である。
こういうポスターができるくらい、また、アル・ヤンコビック先生が歌うくらいに、espressoはexpressoと間違われることが多い、ということなのだろう。
SSEは本所という場所柄にしては何故か外国人のお客様が多い。毎日最低一組は来ている気がする。時々、店内に外国人のほうが多くなり、日本語よりも外国語がたくさん聞こえるというときがあるくらいだ。ここは六本木か表参道かと思ってしまうが墨田区本所である。
そして、外国人のお客様のうち、一定数「expresso(エクスプレッソ)」とおっしゃる方がいらっしゃる。
SSEのお客様調べ、なので、サンプル数が少なすぎるし調査と言えるほどのもんではないのでどうにも心もとないが、どうもイギリス、北米、オーストラリアやニュージーランドなど英語が母国語な人はこの間違いをする人がほとんどいないように思う。もちろん、イタリア人で間違った人もいない。
では、エクスプレッソと言う人はどのような人が多いかというと、僕の体験では、ヨーロッパ系、とくにフランス語話者の人によく見られるように思う。ちなみにフランス語でエスプレッソはやっぱりエスプレッソなので、エクスプレッソと言うとしたらそれはやはり間違いである。
じゃあフランス語圏の人はみなエクスプレッソと間違うのかと言われるとそんなことはなくて、たまたま僕が出会った、その間違いをした人が、フランス語話者だったというだけで、それこそたまたまという可能性もあるので、このへんの話に詳しい人がいたらご指摘くださいませ。
日本人でエスプレッソのことをエクスプレッソと言う人というのは聞いたことがないが、エスプレッソつながりで、日本人で意外に間違っている人が多いなあと思うのがアフォガードである。
アイスクリーム(通常はバニラアイスクリーム)をカップに入れ、その上からアツアツのエスプレッソをかけた、デザートで、僕も大好きなのであるが、ちなみに名前の由来はイタリア語で「溺れる」という意味からきている。エスプレッソの中でアイスクリームが溺れているように見えたのだろう。
これ、スペルは「Affogato」なので、一般にはアフォガートまたはアッフォガートである。
Googleで検索すると、アフォガード(誤り)で70万件ヒットするのに対し、アフォガート(正しい)では10万件しかヒットしない。もはやアフォガードが日本的には正しい名称になってしまっているかのようだ。
アフォ「ガード」と言うほうがアフォ「ガート」より言いやすい、というか、ガートという単語は知らんがガードならよく聞く、ということでアフォガードが優勢となってしまっているのだろうか。スペルを見れば間違いに気づきやすいのだが、こういう新しい単語は耳から覚えることが多くてなかなかスペルは見ないんだよなあ。
つづりや発音は正しく伝わったが、その使い方が間違って覚えられてしまっているものに、マキアートがある。この間違いはスターバックスが「キャラメルマキアート」を定番商品として販売していることに起因する。
スターバックスが日本上陸したのが1996年なのだが、開業当初よりキャラメルソースのトッピングはあり、人気だったというが、開業3年後にはキャラメルマキアートという名前でレギュラーメニュー化されている。
まだエスプレッソドリンクというものがとても珍しいという時代に、日本に大々的に紹介されたマキアートは、スターバックスのキャラメルマキアートだった。その後、マキアートは「なんだかミルクたっぷりで甘い飲み物」というイメージになってしまったようだ。
本当は、エスプレッソに少量のミルクで染みを付けるという意味合いの飲み物なのだが(マキアートはイタリア語で「染みをつける」の意)、正統なマキアートが一般的になるはるか以前にスターバックスのマキアートが有名になりすぎて、日本全国のエスプレッソカフェで「マキアートください」「はいこちらです」「え、これ小さいんですが。しかも甘くないんですが」というやりとりが繰り広げられることになってしまった。
スターバックスのキャラメルマキアートは、カフェラテにキャラメルソースでマキアート(染みを付ける)ということでは間違ってるとも言いにくいのであるが・・・
最後に、どうしてそう間違った?と思うコーヒー用語の間違いで締めようと思う。
カフェラテをカフェテラと間違う人がいるのだが、しかもけっこうな割合でいると思うのだが、こればかりはどうしてそう間違った?と首をかしげてしまう。
バリスタ仲間とこの話題になると、みな一様に「いるいる!」というので、場所に関係なく、いらっしゃるのだろう。
カフェテラ・・・どうしてそうなった?
このシール持ってます!
There is no X in espresso
エスプレッソにX(秘密・謎)は無い!エスプレッソは科学だ!
みたいな意味合いだったと思います。
ノルウェイのS&Bのバリスタに貰いました。
けんたさん、そんな意味があるとは知りませんでした。深い意味があったんですねえ。ステッカーになってるということは、やはり誰かが(商業的に)作ったものなんでしょうか。元ネタがどこなのか気になりますw