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ロスを無くせ!

食材費は、カフェの経費でもおおきなシェアを占める。
計算上、売上が月に100万以上ないとやっていけないとして、原価率30%としても、30万円が食材費となるわけだ。
少なくとも、ながーく使える調味料や保存がきく缶詰瓶詰なんかを除いたとしても、月に20万円以上の食品を購入しなければならない。
しかし、全ての食材が商品に化けてお客さんの胃袋に入るわけではない。そこには「ロス」が必ず発生する。
大学時代に、飲食店でバイトをしていて、そこそこ長くやってたので、最終的には仕入れなんかも担当していたんだけど、そこでロスを見込んで発注するということを学んだ。
つまり、何がしかのメリットのために「ある程度捨てることをあらかじめ計算している」ってことだ。
また、たな卸しをしたら(バイトなのにたな卸しとかさせられてたなぁ)ずいぶん数が合わないことにびっくりさせられたもんだ。
飲食店でなくともそうなんだろうが、特に生鮮食品を仕入れ、加工して販売する飲食店では、好むと好まざるにかかわらず、ロスというのが大きな敵となる。
その敵を倒すには・・・全ての素材を長期保存ができるものにすりゃ解決だ。ぜんぶ冷凍食品と缶詰。ロスの出ようがない。
でもそれじゃお客さんは入らないワケで、新鮮な食材を使いつつもなるべくロスを減らすよう努力しなければならない。
ここに、ちょっと古いが信頼できる筋のデータがある。
農水省が平成13年に調査した「飲食店の食品廃棄物の発生状況と主な要因」だ。
ロス.JPG
この図を見ると、食材のロスの4割が仕込みすぎ、残り6割が食べ残しとなっている。
仕込みすぎというのは、販売の見込みが間違っているか、販売量に対する仕込みの量が間違っているかのどちらかだ。
どちらにしろ、努力すればゼロに近づけていけるはずだ。
食べ残しはどうだろう。これだって、お客さんがきれいに平らげていってくれればいい話で、うまくなかったか、量が多すぎたか、逆に少なすぎてエクストラの一皿を頼んだところ食べ切れなかったか、お客さんの腹具合が良くなかったか、接待や待ち合わせやヒマ潰しという本来の食べるという目的でない人が来たか、まあこんなところだろう。
これだって、店側が努力すれば食べ残しを減らすことは十分可能だ。
以下は戯言なので興味がある方だけどうぞ。
いのちの食べ方という映画があって、たんたんと生き物が食材になるまでを、ドキュメンタリーで紹介した感動作だ。
音楽もメッセージも一切無いまったく見る人まかせな作品で、ある人はスプラッタ映画として楽しむだろうし、ある人は単に作り手のエゴや欺瞞だと決め付けるかもしれない。
しかしながら、食材はもともと生き物でありそれをむざむざ無駄にするのは忍びない、という信念を持つ者には強烈な印象を与える。
すなわち、人間は食物連鎖の一番てっぺんにいるからこそ、何を食べるにしろ、地球上で最もたくさんのいのちを(間接的に)食べているってことだ。
牛の解体をする工場の女性が昼休憩にサンドイッチを食べる。ハムが挟んである。それは以前に彼女が解体した牛かも知れない。
いいとか悪いとかじゃない。サンドイッチにはハムが必要だ。そのハムを作るにはだれかが牛を殺して解体しなければならない。
コーヒーだって、牛と同じだ。コーヒーを飲むためには、誰かが木を植えて収穫しなければならない。すなわちせっかく実を結んだ果実をもぎ取るわけだ。コーヒーの木にしてみりゃ、やりきれないだろう。
とにもかくにも、いのちを食べて生きていくからには、食べられたいのちの分も胸を張って生きたい。そのためには、むざむざ食材を無駄になんかしてられないってことだ。
などということを、この映画を見て思った。
未見の方は、ぜひ一度ご覧になることを強くオススメします。
いのちの食べ方.jpg


Published in 開店の下ごしらえ

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