さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学という本がある。
ずいぶんと前になるが、地方の某書店で何気なく手に取り、書き出しの面白さに購入したのだが、その後ほどなくして失くしてしまった。
こないだ近所のブックオフで見かけたので再購入。
会計学をわかりやすく専門用語もあまり使わず身近な(しかも面白い)例を用いて説明してある本である。
簿記2級を取ろうと勉強を始めたその日に「こりゃダメだ、合わん」と諦めた経験を持つ者にとっては、経理や会計などはとてもお近づきになれるシロモノとは思えない。貸し方と借り方とか・・・考えただけで鳥肌がたつ・・・
しかし、自分で商売をやるのに会計は避けては通れない道だ。第一歩としてこの本から始めよう。
来年には会計が一通りわかっているようでないと、開業は難しいぞ。
というわけで読んでみた。以前読んだ印象より、開業を真剣に考えているという現状からか、より面白く感じられた。
身近な例がさおだけ屋だったり、住宅街の高級フレンチだったりと、考えるとどうして経営が成り立つのか不思議な店なので、引き込まれて読んでしまう。
そのなかで会計の初歩的な知識をちりばめて、無理なく会計に興味を持たせるような内容だ。
詳しく知りたい人は買って読んでもらうとして、ひとつだけ「なるほど~」と思った内容を紹介する。
「コストを下げるときは割合ではなく絶対額で考える」
1,000円のものを半額で買えればそりゃお得な感じがする。
しかし101万円のものが100万円でもそんなにお得な感じじゃない。
しかし、前者で節約した500円など、後者で節約した1万円の前ではもはやどうでもいいような額だ。
しかし「ちりも積もれば」と言うじゃないか、という反論があるだろう。こう考えるとどうだろうか。
毎日100円を節約する。1年で36,500円だ。だが年に一回の家族旅行のホテルをグレードダウンすればどうだろう。例として金沢あたりで豪華な食事がついたホテルに泊まるプランは一人2万円くらいだろうか。それを旅館にして一人8千円なら4万8千円も節約できる。年に一回だけガマンすれば、毎日節約するよりもっと節約できるのだ。(毎日100円節約して、さらに旅行にも行かなければもっと節約できる、というのは無し。どちらが、という話)
つまり、毎日100円と、家族旅行の宿を比較すると、後者のほうが節約額が大きいのだ。
金額の大きいものはつい、年に一回だからとか、記念だからとか、せっかくだからいいほうをとか、贅沢をしがちである。しかし金額の大きいものほど節約(コストダウン)効果が高い、逆に言えば細かいところをいくら節約したところで、効果はあまり期待できないということだ。
割合ではなく額、わかってはいるようでわかっていなかった真理である。勉強になった。
さおだけ屋はなぜ潰れないか
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