6月某日、東京某所で、とある団体が主催するセミナーに参加してきた。雑居ビルのドアを開けて、地下のセミナー会場へ向かうとそこは・・・
と書くとアヤシイよねえ。
6月16日(水)、東京タワーのふもとで、SCAJ中級カッピングセミナーに参加してきたんだけど、普通にそのときのレポを書くとテンションが下がってしまいそうになるくらいコテンパンにやられて帰ってきたので、ちょっとおちゃらけてみましたw
朝9時ちょっと前に東京タワーの前に着いて、記念撮影。パチリ。
このときは、1時間後にとんでもないことになるなんて思わなかったんだよなあ。
講師は関根さんと丸山さんである。
今日は4セッションするのだが、参加者は6テーブルに別れ、4人一組でカッピングをする。そして自分の名前の方の講師に報告に行く。合計点数はもちろん、特定の項目(例えばクリーンカップは何点?とか)やプロファイルも聞かれ、それがおかしければ指摘されてもう一度カッピングしに戻る、というシステムだ。
関根さんも丸山さんも非常ににこやかで明るく、会場の雰囲気は10時までは和やかな感じだった。
ではセッション1である。(以後、サンプルの銘柄など細かい説明は端折るのでご容赦を)
「ブラジルから4サンプル、都合でパルプドナチュラルだけで揃えられなかったんで、ナチュラルのサンプルも入ってます。トップスペシャルティ、スペシャルティ、プレミアム、コマーシャルの4つです」と関根さんからアナウンスがあり、カッピングを開始した。
ドライの香りを嗅ぐ。お湯を注いで、ブレイクして、冷めるのを待ってすする・・・いつものカッピングである。僕もSCAJの初級カッピングセミナー、丸山コーヒーのアドバンスコースのカッピングセミナーと出てるし、時々は豆の仕入先さんでやるカッピングに参加しているんで、そんなに取れないってことはないと自負していた。
サンプル1、サンプル2、サンプル3、サンプル 4とまずは印象を見てみる。熱いうちはどうも細かいフレーバーが取りにくいので、全体のイメージをぼんやり取るくらいでまずは1周するのが僕のやりかただ。
え?
・・・ええええええええ?ぜんぜんわからないんですけど(滝汗
もうね、最初っから浮き足立ってるんです。舞い上がっちゃってる。
味が違うのはわかる。わかるんだけど、どっちが優れているのかがわからない。酸は?これはある、こっちはない、でもどっちが「優れているんだ?」と自問自答しても答えが出てこない。アタマは真っ白、唇は乾き、目が泳ぐ。もう一周しても何がなんだかわからない。アフターテイストは?どれも何かが舌に残る、でもどれがいいのか悪いのかがわからない。あわわわわ。
前回の轍を踏むわけにはいかないので、最初の点を慎重につける。最初の項目、フレーバーの点数を、4カップの印象を比べて付けるのだ。そうすれば、少なくとも順位と点数がバランスして記入できるはずだ。
前回の轍とは
・・・アロマ、味、風味を取っていくわけだが、 A、B、Cと続けて行くと明らかにA>B>Cなのだ。なのだが最初に「6」と書いているわけで次のBは「5」と書かざるを得ない。得ないがそんなわけない。いくらなんでも「5.5」だろう。普通ではない、良いなのは間違いないのだから。しかし「5.5」は書けないのでBは「6」とした。
そうするとA>B>CなんだからCはもう「6」は無理。つけられない。「5」をつけるしかない。普通?いやいや「6」が十分つくと思うんだけどAが「6」なんだからしょうがない。・・・
というわけで、最初にどれかの点数を決め打ちにするとあとあと辻褄が合わなくなるよ、という話。
そしてこれがセッション1の大失敗の原因だった。まったく毎度毎度。人間は失敗する葦である、だっけ?
フレーバーの大小で、点を付けてしまった。雑味がたくさん出てる、味の強いサンプルの点が高くなってしまったのだ。
点数はここで決まったも同然だった。最初にこれは、と思うと最後までその印象をぬぐいきれないで終わる可能性が高い。最初につけた点数を途中で大幅に変えるのはとても勇気がいる。ちょこっと変えることはあるけど、4点つけたのを6点にするなんてことは、普通、あり得ないわけで、それをやるのは相当思い切らないと変えられない。もちろん今回も、間違った最初の印象を大きく変えることは無かった。
というわけで、ほぼ、この結果はカッピングの最初の10分で決まったと言ってよい。間違った印象を元に、そして講師の情報、ナチュラルが混じってますというのに惑わされ、迷路を抜けることなく間違った出口に着いてしまったのだ。
ホワイトボードには僕の名前も書いてある。報告しに行かなきゃならない。どうせ点数もつけ終わってるしと3番目くらいに報告しに行った。
関根さんに点数を報告すると、開口一番、こう言われた。
「強さと質を取り違えているね」
それだ。それを区別しないと、カッピングの点数を付けるということにはならないんだ。
その強さと質の関係、質は良いのか悪いのか、これがわからなければカップの点数はそれこそ「印象点」になってしまう。まるで客観性を持たない点数ということだ。
がっくりと肩を落として、もう一度サンプルをすすりに行くと、講師に注意されたことをよーくよーく考えながら味を見れば、なんとなく言われたことがわかる。つまり取れてるということだ。でもそれが利用できない(スコアに反映されない)なら、取れててもまったく意味がない。
そして、みんなの点数の申告が終わるまで、残ったサンプルを自分の舌とアタマに言い聞かせながら何回もすする。これがクリーン、これがノットクリーン、これがクリーン、これがノットクリーン。繰り返し、いいカップと悪いカップを往復して、その違いの本質を覚える。
ちなみに大外ししたのは数人で、ほとんどの人は多少ズレているというような範囲に収束していた。
もちろん僕は大外ししたうちの一人であり(もしかしたら、最も外していたかも)、かなり凹んでしまった。
そしてセッション2同じサンプルで、順番を変えて、もう一度同じサンプルをカッピング。
さっきのフレーバーも覚えているし、特に講師に注意されたことを思い出しながら、丁寧にカッピングする。特に、クリーンカップは冷めてから如実に現れる。僕はまだ熱いうちにそれを取ることができないので、今度は冷めるまでじっくりカッピングすることにした。
さっきは3番目くらいに報告に行ったが、今度はかなり後のほう。つまりほとんどの人が僕より先に報告しに行っているので、ホワイトボードを見たら傾向がわかるのだが、それを見てはつまらないので気にせず自分の感覚でひたすら繰り返しカップする。
よーしできた、と報告に行くと、まあ大体、合っていた。しかしコマーシャルとプレミアム(ハイコマーシャル)の点数に差がつかず、講師(こんどは丸山さんだ)に点差がつくのはどこかと聞いたところ、クリーンカップに大きく差がつくよ、と実際に残っているサンプルを講師とカップしに行き、確認。確かに、どちらもクリーンではないが、クリーン度には差があった。ほかにも点差がつくところはあるが、クリーンカップは明らかに1点差が付く、と実践的なアドバイス。
クリーンカップは冷めてからのほうがよくわかる。これは経験則で知っていた。しかし、そのほかのマウスフィールや甘さやあれやこれやも、実は熱いときには取りにくいという項目がある。
講師からのアドバイスも含め、カッピングするときのメソッドはこんなんがいいのではないかなーと現時点で思っているのを書くので、参考に(したい人は)してください。
00分 お湯を注す
04分 ブレイク
10分 やけどしないようにゆっくりと2周して熱い状態のフレーバーを確かめる
15分 カッピングシートにフレーバーを記入しながらゆっくりとカップする。
20分 カッピングシートに点数を記入しながら、1項目ごとにカップする。ただし、点数を付けるのは自信があるところだけ、自信がないところは仮の点をつけておく。クリーンカップとマウスフィールは付けない。
30 分 もう一度、全体の印象を確かめるために1周し、おかしな点がないかチェックする。自信がないところは確認する。
40分 クリーンカップ、マウスフィールを取る。そのほか、まだ自信がないところを確認する。また、全体の印象度と合計点数に乖離が無いか確認し、乖離がある場合、勘違いしているところが無いかチェックする。時間があれば、1時間くらいまでは確認したい。
SCAJ中級カッピングセミナー①
Published in エスプレッソ技術
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