某カフェの立ち上げに携わってみて、ちょっと雑感。
ほんと、いかに自分たちが特殊な人種なのかということを実感したわけ。
コーヒーが好きです、という人がたくさんいる。
今回、立ち上げに携わることができたカフェのオーナーもコーヒー好きなのだ。
そして美味しいコーヒーを提供するカフェをやりたい(できれば地域で最も美味しいコーヒーを提供したい)という目標を持ってカフェを開業した。
ところがところが。
寄ってたかってバリスタが素晴らしいエスプレッソを抽出しようとするたんびに、オーナーがどんどんとどん引きしてしまうという状況になってしまったのだ。
バリスタ「ダブルで抽出して、一杯は味見用、もう一杯は提供用です。ハイ、そうです。一杯は味見したら捨てます」
バリスタ「セッティングを出すために毎朝何杯かをテスト抽出します。ハイ、そうです。それらは捨てます」
バリスタ「気温や湿度で途中から抽出がうまくいかなくなったりします。微調整が必要です。ハイ、そうです。抽出に失敗したら捨てます」
バリスタ「トレーニングしないとちゃんとしたエスプレッソは出ません。ハイ、そうです。トレーニングのために大量に豆を使用します。もちろんそんなに飲めませんから、捨てます」
オーナー「・・・(怒」
単価が安いカフェですんごくムダが出るというのがどうにも納得いかないようで、困ってる。
オーナーはこう考えていたようだ。
カフェを始めたら、マシンが勝手にコーヒーを抽出してくれて、簡単なマシンのオペレーションだけでドリンクが提供できる。しかもセルフ方式ならどんなに大きな店でもレジ係とマシンのオペレータの二人もいれば十分じゃないか。
ところが実際バリスタ(僕達だ)が言うにはこうだ。
カフェを始めるならマシンのセッティングを詰めて卓越した技術と繊細なオペレーションの上に成り立つ最高のエスプレッソを提供しなければならない。しかもセルフ方式というのはもうしばらく前からシアトル系の台頭によりグルメエスプレッソとラテアートのカフェという印象が強い。だから優秀なバリスタを少なくともお客さんをお待たせしない程度には配置する必要がある。
この件は今、絶賛進行中なので、この先どうなるかわからない。
すごいグルメエスプレッソを出すカフェに成長するかもだし、結局そこいらにある普通のコーヒーを出すカフェと変わらないレベルになってしまうかも知れない。
そのどちらが正しくてどちらが間違っているということはない。意見が対立しているだけだ。
さてさて、僕らバリスタにはビジネス感覚が欠如していると言えるのか。
オーナーにはまともなコーヒーを出すという感覚が欠如しているのか。
それは神のみぞ知る、である。正解は無い。しかし、これだけは言える。
今、最高のエスプレッソを出すという店は少ないし、そういう店がどこでも大繁盛するほどニーズもないし、最高のカップをきちんと評価してくれるお客さんも少ないかも知れない。でも、そういう店が増えていくためにも、僕らバリスタは闘わなければならないのだなと思う。
そして、スペシャルティコーヒーやら、エスプレッソやらのために大上段に構えて「闘わなきゃならないんだぜ!」な~んて考える僕らは、やっぱり、ほかの人から見たら、特殊な人種なんだよなw
特殊で、面白い人種だw
カフェ立ち上げに携わってみて。
Published in カフェ屋さん
ホントにバリスタって特殊な職業だと思いますよ(笑)
私は某緑のシアトル系で働かせてもらってるんですが…肩身が狭いです…もっと拘ればいいのに!!って常に考えてます。
会社が大きいと無理なんですかね?
ダブルで無駄を出したくないなら…シングルかボトムレスですかね?
どっちにしろ腕が必要ですが。
こんにちは!
この記事はかなりバリスタ目線なんでこういうことになってますが、これが経営者目線だとこうはならないかもしれませんね。
バリスタのやりたいことがちゃんと儲かるんだったら、バリスタ目線で経営しても良かろうと思います。しかし、シアトル系大手だと、もはやバリスタ主導では経営が立ち行かなくなるんでしょうね。あまりにも規模が大きすぎて。
僕は今、バリスタ的考え方をするときが多いのですが、やっぱり経営というものを同時に考えないと、ただの独りよがりになってしまいそうです。
何が正解かわかりませんが、このへんをバランスとっていかないと不正解になりそうでコワイところですねw
どこかの繁盛店のオーナーシェフが言ってましたが、
美味いものを出すのは当たり前、それ以外の事を疎かにすると、店は流行らないと。
それ以外というのが経営目線流行ると言って、それ以外のことをやりたがらない人いますよね。
またまた、他の珈琲屋の経営者が、珈琲を淹れるのはある程度でできるようになるが、
一番難しいのは、それを売る事だとも言ってました、
最高の珈琲を淹れるのは相当難しいと思いますが、その通りだと思いました。