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yenとsmile

お客様からいただけるもののうち、ありがたいものは主に二つ、yenとsmileだ。
ありがたくないものは、例えば罵倒だったり、損害賠償請求だったり、ネットに悪口だったりといろいろあるが、これは今回のテーマと関係が無いので、割愛する。そんで、こういうのをいただくような商売にしたいと思っている人もいないだろうから、前向きにこういうのをテーマにして記事を書きたくないなあ。 ・・・閑話休題。
さて、yenとsmileは、商売をやっていくに当たり、毎日をなんとかやりくりするために最も大事な二つの要素である。
yenが無ければ、支払いができない。自分が食べるものも買えない。つまり、商売が行き詰るか自分の人生が行き詰る。どっちにしろ継続していくには難しい状況になる。yen大事だね。
ここは誰でもわかるところ。当たり前だけどその商売で収入が無ければ、その商売単体で継続していくことはできない。yen大事です。ガンガン稼がなきゃ、どんなにいい事業だとかいい商売とか胸を張っても継続できない。
yenは毎日の商売のガソリンみたいなもんです。ハイ。
片やsmileはどうだろう。
smileがもらえなくても大丈夫な商売というのがある。例えば市役所。住民票を取りに行くのに「うちんとこの市役所はサービス悪いし無愛想だから隣の市の役所に行ってくら」というのは出来ない。どんなに無愛想でサービスが悪い職員に当たろうとも、どんなに待たされても、自分のとこの市役所に行くしかない。
当然、お客さんは愉快ではないわけだからsmileは無い。でも、この商売は廃れることなく続いている(続いているどころか、建物が古くなれば建て替えるし、給料は不況でも上がるし、成長産業と言っても良いだろう。お役所に限らず国が保護している産業なんかはみな似たり寄ったりだ)。
というわけで世の中、顧客からsmileがもらえなくても大丈夫な商売というのがある。
あるからと言って、あなたは毎日、顧客からsmileをもらえないような商売をやろうと思うだろうか?
・・・僕はとてもやれる自信が無い。
何かを売る、それが無形のサービスだろうが形ある商品だろうが智恵だろうが労力だろうが、何かを売るときに顧客が支払うのがyenだけだとしたらどうだろう?それは一種の自動販売機ではないだろうか?
もちろん、対価としてのyenは貰うに決まってる。しかし、対価を払うだけではなく、そこにsmileがくっついてくるからその商売をやる気持ちになるのだ。
これは小さな商売だけではない。例えば、Apple社はとても沢山の人のsmileを貰っていることだろう。直接Apple社の社員がそのsmileに出会うことは少ないだろうが、世の中にあふれるさまざまな楽しいもの、便利なものがApple社の製品の恩恵を受けている。そしてそれらを使った人の顔が自然とsmileになっている。これは何もApple社でプロダクトを企画したり製品化した人だけのものではない。財務を担当している人でも感じられることだろう。ああ、私の勤める会社はこんなにも人を幸せにしてるのか、とね。
もちろん小さな商売ならもっとダイレクトだ。焼き芋屋さんを呼び止めて芋を買う。寒い夜にこれほどの贅沢はそうそう無いと思う。顧客は温かくて甘い黄金色の憎いヤツを手にして、数百円とsmileを支払うのだ。それこそ数百円とは思えないほどのsmileがもらえるかもしれない。喜ぶお客さんの顔を見て、寒い中、芋焼いてて良かった、と思うだろう。
これがあるから、Apple社ではみんな素晴らしいプロダクトを世に出そうとして頑張るのだし、焼き芋屋さんは夜な夜な寒い中リヤカーを引っ張るのである。
yenが商売のガソリンなら、smileは商売人のガソリンなのである。
チマタにはこんな言葉が飛び交っている。
「顧客満足度を上げれば、利益はついてくる」
ビジネス書によくあるフレーズだ。
これを見るたび僕はこう思う。
「マジで言ってるの?顧客満足度が低い商売なんかよくやってられるね!」
利益が低い商売というのは、がんばればまだなんとか続けられる。商売そのもののガソリンが足りないわけだから、例えば借りるなり、経費を下げるなり、工夫次第で商売の延命は可能だ。
しかし、顧客満足度が低い商売ってどうなのよ、と思う。商売人のガソリンが足りない状態だ。顧客が満足してないから、もちろんsmileはもらえない。そんな状況でよくやってられるね!と思うわけ。
顧客満足度は高くて当たり前でしょう。顧客からsmileが貰える商売なんだけど、どうもyenが足りないんだよね~、というのが悩みならわかる。smileもyenも足りないんだよ!というのはもう辞めちゃえよと。
smileが無くてしんどいけど、yenがまあまあ入ってくるからとりあえず続けるよ、というほうがまだ健全な話だよね。
smileがあるのが当たり前なんだよね。だってsmile欲しさに商売やってるんですよ。yen欲しさに商売やってるんじゃないでしょう。
smileを欲しがっているのは商売人、yenを欲しがっているのは商売そのもの。
極端な話、とっても素晴らしいサービスやプロダクトをタダで配ればsmileがたっくさん貰える。顧客がすごく喜んでくれればこっちもうれしいよね。顧客が喜んで嬉しくないって人はいないよね。でもそれじゃ商売そのものが成り立たない。そういうこと。
だから、yenを追求しましょう、ということ。
smileはもともと欲しているわけだから、これ以上ことさらに欲しなくてもいい。そもそもsmileが貰えると思ってその商売を始めたのではないか。
しかしyenはよほど欲しい欲しいと思わなきゃたくさんはもらえないよ。smile以上のyenを貰うのは難しい。(yen以上のsmileはよくもらえます)
というわけで商売をやっていくならどんどんyenを欲しがりましょう。ガンガンyenを欲しがりましょう。これって全然イヤシイことじゃありませんよ。なにしろyenがないと商売が干上がっちゃいますから。


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