メルセデス社の安全哲学を端的にあらわす言葉がある。
いかに高価な自動車であろうと人命に勝るものではない
自動車の安全性向上への多大なる功績によって「ミスター・セーフティ」と呼ばれたベラ・ヴィクトル・カール・バレニー。1994年には、自動車業界で最高の栄誉である米国「自動車の殿堂」入りを果たしました。1997年、90歳で永眠。彼が発明した数々の安全技術は、これからも多くの自動車の中で生き続けることでしょう。(メルセデスベンツオフィシャルサイトより)
>>メルセデス・ベンツ オフィシャルサイト
一杯のコーヒーにも同じ哲学を持とう。
いかに美味しいコーヒーでも人命に勝るものではない、のである。
そのコーヒーは安全だろうか。
目の前の茶色い液体を見て何を基準に判断すれば良いだろうか。
飲んでみないとわからないことなのだろうか。
海を越えた緑豊かな国々で育ち、収穫され、精製され、それが日本へ出荷される。それが日本で焙煎され、抽出され、目の前のカップに注がれているのである。
道のりが長すぎて、そのすべての段階で安全であることなど、消費者が直接知りうるところではない。しかし、カップを目の前にして、ひとつだけ知りうることがある。
そのコーヒーは安全に抽出されたか。
飲食店における消費者が関わる事故のほとんどが食中毒である。食中毒まで起こさなくても、そのカップが衛生的に作られなければならないのは当たり前である。食中毒の可能性をゼロにするように努力しなければならない。
食中毒の基礎知識
細菌発育の3条件
1.栄養
ヒトにとって栄養となる食品は、細菌にとっても栄養源となります。調理器具類では、食品の残さや汚れが細菌にとって栄養源となります。
2.水分
細菌は、食品中の水分を利用して増殖します。水分含量50%以下では発育しにくく、20%以下では発育できません。
3.温度
ほとんどの細菌は、10~60℃で増殖し、36℃前後で最もよく発育します。
(サラヤオフィシャルウェブサイトより)
>>サラヤウェブサイト
バリスタの仕事場を思い浮かべると。
1.作業スペースの上のコーヒーカス、挽いたコーヒーの飛び散り、ミルクのハネなどがありそうだ。
2.水仕事で手が濡れるし、マシンや水まわりなどあちこちに水分が多そうだ。
3.マシンや製氷機など厨房機器は熱を持つものが多いから36度前後になっているところがありそうだ。
というわけで、食中毒の可能性があることは理解できると思う。
それを徹底的に無くすようにしなければならない。
そのためにはどうするか。
洗浄、清掃を常に行い、清潔にする。これに尽きる。
バリスタは常に自分自身と作業場を清潔に保ち、清潔な器具を用い、清潔なカップを使用しなければならない。
汚れたらすぐ拭く。水分は残さない。乾燥しているところでは細菌はなかなか増殖できない。水拭きしたら乾拭きする。濡れた手はすぐ拭く。ちらかっていると汚れに気がつきにくい。だからすぐ片付ける。とにかく清潔に、清潔に。
清潔にするというのは特に技術も要らないし、経験を必要とするものでもない。誰でもできるし、簡単にできる。
今日からさっそくやろう!とにかく清潔に、清潔に!
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