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サイフォンで遊ぼう

サイフォンというコーヒー抽出器具がある。一般的なイメージとしては、どうなんだろう、昔流行った抽出器具って感じなのかなあ。それと、理科の実験器具みたいとか、扱いが難しそうとかいうのもよく聞くかな。

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ハリオさんから無断でお借りしてきた画像がこちら。

確かに「これがほんとうにコーヒーを淹れる器具なのかどうなのか、どうもアヤシイ」という感じはするw
しかしこれはまぎれもなくコーヒーを淹れる器具であり、しかも、なかなか侮れない性能を秘めているのである。

(1)サイフォンは美味しい

サイフォンを買うと、布でできたフィルターが付いてくる。いわゆるネルドリップというアレと同じ布である。
あの布は起毛処理されたコットン生地であり、その起毛があることで、ただのコットン生地よりも抽出がゆっくりになり、よりとろっとした質感のコーヒーが抽出されるのである(と言われている)。
そして圧力(サイフォンの場合は減圧)により抽出するのは、エスプレッソマシンやエアロプレスで抽出されたコーヒーを飲んだことがある人ならばわかると思うが、とても抽出効率が良くなる。短時間で抽出できるということである。濃度が高い液体を抽出するための時間を短縮でき、成分をよくカップに落とせるということになる。
すなわち、そのコーヒーの持ち味を楽しむということであれば、圧力を利用した抽出方法には利があるということだ。

(2)サイフォンはかっこいい

そもそも見た目が理科の実験器具みたいでかっこいいのだが、さらにそれを扱う様がかっこいい。
サイフォンはそんなに安くない。セットで1万円近くする。それを鮮やかな手さばきで何本も使い次々とカップにコーヒーを注ぐ。

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※写真はUCCさんからお借りしました

何本握ってるの!っていうか割れるの怖い! っていうのがサイフォン素人(=僕)の感想。
こういうのがサイフォニストたちには「おー!かっこいい!」ってなるんだそーだ。ううむ、僕は割らずに二本以上持てる日がくるのだろうか・・・と思わせるこの難易度の高さがかっこいい。
そしてもうひとつ、最近は光サイフォン(ハロゲンヒーター)などというものが出てきたので必ずそうだとは限らないのだが、サイフォンは裸火を扱うのがかっこいい。
コーヒーを淹れるにはお湯をわかす必要があるので、エスプレッソマシンでもない限り、何かでお湯をわかす必要があるのだけど、それはたいていキッチンのほうで沸かしたものを使うことが多い。ガスコンロにしろ、火を使うのはキッチンであり、抽出する現場ではない。しかしサイフォンは違う。燃え盛る火の上で一部始終の作業を終えるのである。火を自在に操り、コーヒーを淹れる。うーん、かっこいい!

(3)サイフォンは楽しい

まず何が楽しいって火を点けるのが楽しい。わくわくする。
でもって下のフラスコに入ってるお湯がこぽこぽと沸騰してくる様子(水泡が三本くらい立ったら上のロートを刺すんだそーだ!)も面白いし、ロートを刺して上にお湯が持ち上がってくる様子、そしてコーヒーの粉とお湯が混じり抽出された後、またフラスコに戻る!
見てるだけで楽しいよねー。自分で操作しても、途中で火力を調整してみたり、ヘラでかき回してみたり。なんだか楽しいんだ。

(4)サイフォンは面白い

サイフォンの仕組みをよく理解すると、抽出に対していろんな条件を設定できることに気づく。
実は僕、つい先日までサイフォンについてすごい誤解をしていて、プロのサイフォニストに「違うよそれ」と教えてもらっていろいろと気がついたことがある。そのほとんどが僕の固定観念で「サイフォンは抽出の自由度が小さい」というもの。実はサイフォンは抽出の自由度がかなり高い。
粉量と湯量を変えられるのは当たり前として、次の項目は意外に知られてないのではないだろうか(僕調べ、っていうか僕が知らなかった)。

・抽出の湯温は自由に変えられるよ
実は沸騰しつつお湯は上がっていくので、100度のお湯で抽出しているわけではない。100度近いということもない。がんばれば80度くらいでお湯は登っていく。さらに、もしそれ以下の湯温がご希望なら上がってきた湯に水を注せ。
・抽出時の速度は自由に変えられるよ
最初から粉をフラスコへ入れたり入れなかったり、ヘラで混ぜたり混ぜなかったり、いろいろと抽出のスピードを変えることができるよ。
・フィルターを通過するときの速度は自由に変えられるよ
フラスコへの熱の当て具合で減圧の程度をうまく調整してあげれば、減圧によるロート内の液体のフィルターの通過速度を変えることができるよ

えー?マジですか?こんなに自由度が高いものなの、サイフォンって? て思ったのは僕だけじゃあるまい。慣れれば、ほぼ自由自在と言っていい自由度があるのだサイフォンは。これは味づくりが面白いぞ!

(5)サイフォンは目立つ

喫茶店ブームが下火になりカフェが台頭してくるに従い、喫茶店でよく見られた(そしてカフェではあんまり見かけない)サイフォンを見る機会がどんどん減っている。
もともと家庭用とは言いにくい使い勝手と価格だったので、一般消費者の中ではあまりメジャーな抽出器具とは言えず、プロが使う道具という位置づけであったサイフォン。それだけに喫茶店ブームとともにサイフォンそのものも下火になってしまった感は否めない。
しかしそのサイフォンを今あえて使ってみるというのはどうだろうか。何しろ目立つ、間違いない。そもそもお店でも見かけなくなった器具なのにそれをご家庭で使うっていうのはとてもクールだ。そして目立つ割にそんなに使い勝手が悪くない。手洗いでも食器洗浄機でも、ぶつけるのを注意しさえすれば、部品点数はそれほど多くないしブラシなどを用意すれば清掃もそれほど苦じゃない。唯一フィルターの保管が面倒なのだが、それも小さなジップロックに入れて冷凍庫という手で随分楽ができる。
フレンチプレスを使っている人ならもう一歩、エアロプレスに手を出した人ならもう間違いなくサイフォンは普段使いにできるはず。さあ、サイフォンでコーヒーを淹れて目立っちゃおう!

というわけで、サイフォンの提灯記事みたいになっちゃったけど、実は僕がいまハマっているからこんな記事を書いているというのはナイショの話である。
ハマるとかなり面白いオモチャなので、ぜひみなさんも一度ハマってみて下さい。


Published in コーヒー

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