ぼーっとyoutubeでbillboardのヒットチャートを見ていた。
いやーいろんな曲がチャートインしてますなあ。
13位のMKTO、3位のMagicはそれぞれ、アメリカとカナダのグループだが、どちらもリリース後に本国ではパっとせずに、しばらくしてオーストラリア・ニュージーランドのチャートで火がついて、ついに北米でも大ヒットという珍しい経緯である。Magicはジャンルが総合チャートではマイナーなジャンルと言えるレゲエなのに、1位を狙う勢い。
36位、MJ feat. Justin Timberlakeということで、いまは亡きキングオブポップのマイケルジャクソンがランクイン。いま聴いてもやっぱりMJはいいねえ。僕はMJを聴いて育った世代なんだけど、そういうの差っ引いても、やっぱりMJはいい。
20位のRixton、本国ではMaroon5のフォロワーと言われているけど、実力は本物か。メロディックな曲にハーモニー、Maroon5超えするのかな。そのちょい上には本家Maroon5が貫禄のチャートイン。
カントリーも根強い人気。いつも何曲かチャートインしてる。45位にLady Antebellum。デビュー以来、コンスタントにヒットを飛ばしてる。ちなみにこの週には入ってないけど、いまや人気絶頂のテイラースウィフトもジャンルはカントリー。
え? コーヒーのブログで何書いてるんだって?
ビルボードのチャートを見てると、いろんな曲が、いろんなジャンルが入ってるなあと思う。それだけ音楽の趣味志向というのが細分化されているってことなんだろうね。
どのジャンルでもいいものはいいし(売れるし)、ダメなものは埋もれてしまう。とびきり光って大ヒットを飛ばしてもそれっきりでいなくなることもあるし、それほど脚光を浴びないけれども地味に息の長い活動をしてるってこともある。
コーヒーの世界も同じなんじゃないかな。音楽もコーヒーも、趣味のもの、嗜好品であることは間違いない。
いま、ブルーボトルがやってきたと騒がしい。その前はサードウェーブがやってきたと言っていた。何年か前はスペシャルティコーヒーだ、その前はラテアートだ、その前はなんだっけ。きっと昭和の昔から、コーヒー業界には何年かごとに新しい流行があったと思うんだ。
43位のAviciiはエレクトリックダンスミュージック(EDM)という比較的新しいジャンルのアーチストであるが、こういう新しいジャンルができると(ジャンルとして成立したのは1980年代とかじゃないかな)、やっぱり世の中は新しいことが好きだから、もてはやすわけだ。これからのダンスミュージックはこれだ、いままでのはもう流行遅れだ、と。
でも、いまだに10位Pharrell Williamsがちょっとクラシックな、ソウルフルなダンスミュージックでチャートインしているところをみると、新しい波も、古い伝統的な音楽も、どちらもちゃんと需要があるのだろう。
大事なのは、AviciiにしろPharrellにしろ、どちらもたくさんいる競合の中でピカイチだということだ。だからチャート上位に入ることができる。新しいからいい、古いからいい、ということではなく、良いものは良い、ということだ。新しかろうが古かろうが、良くないものは埋もれるし、クリエイティブでないまがいもの、コピー品は残っていくことができない。
おっと、コーヒーの話だった。
ちかごろ、コーヒーの評価の流行が酸から甘みへ移ってきたように聞くことが多い。酸の評価というのはけっこう分かりやすいのだが、甘みというのは少々難解である。しかし、それを論じれるほどに、消費者の受け入れ体制が整いつつあるのだということか。すばらしいことだ。
これからしばらく、甘みというのが評価の軸として太くなっていくのだろうと思うが、時代はいつでも変わっていくものである。評価の流行もきっと変わっていくだろう。甘みの次は何だろう。もしかしたら、丸山珈琲が仕掛けた「うま味」に行くのかも知れない。
流行のことだから、先を読むのは難しい。もしかしたら、甘みがひと段落したら苦味に行くのかも知れない。今は苦味はネガティブな要素に数えられるものだが、先のことは誰もわからない。苦味がポジティブな要素になるときがくるかも知れない。 何が来るのかはわからないが、素材の改良や機材の進化、消費者の嗜好の変化に合わせて、きっと次の流行が数年のうちに来るのだろう。
だからと言って、フルーティなコーヒー(これはちょっと前からよく聞かれるフレーズだ)が廃れるということではない。フルーティなコーヒー、結構じゃないか。だって、苦味とコクのコーヒーが売りのコーヒーがまだ現役で繁盛しているのだ(コクが何かというのは置いといて)。苦味とコクなんて、イメージとしては昭和だろう。いかにもオールドファッションだ。しかし、その中でもきちんと良いものは時代に合わせてアップデートしながら現在まで残るということだ。 フルーティなコーヒー、それはそれでいい。突き詰めていって欲しい。まだまだそのジャンルでやれることがたくさんあるだろう。誰もまだ体験したことのない鉱脈が眠っている可能性はある。いままでにないフルーティなコーヒーで僕たちをびっくりさせてほしい。
同じように、だ。陳腐化したと考えられがちな焙煎と淹れ方の組み合わせだって、十分に可能性がある。 浅煎りのコーヒーでエスプレッソ(おっと、これもちょっと前からよく聞かれるフレーズか)を追求してくのもいいだろう。そういうコーヒーにも同じように可能性がある。 深煎りでネルドリップ(これはもう少し昔に聞いたフレーズだ)を究める、というのもいいだろう。
僕は、メロコアというジャンルの音楽が好きでよく聴くけど、これは非常にマイナーなジャンルで、このジャンルではかなりビッグな大御所でもヒットチャートには縁遠くグラミー賞などお呼びでないという、過疎ってるジャンルである。 商業的な音楽であるからして商業的に成功しなければ続けられないのだが、それでもジャンルとして成り立つくらいにファンがいて、そしてそのジャンルの中でみんなで切磋琢磨しているというくらいに競争がある。そしてそのジャンルにはちゃんと新しく参入するバンドがいて、だからこそ、そのジャンルが残り続けるわけである。
ネオクラシックなどと言うが、新規で始めるお店が昔の喫茶店風であったり、サイフォンやネルのお店だったりすると、ちょっとびっくりしてしまうが、なんのことはない、音楽で言えばマイナーなジャンルに新人がやってきたというようなことだ。 コーヒーの技術を競う各種競技会、生豆のオークションや品評会、コーヒー業界(のうち、とくにハイエンドな部分)の流行はこういうところで作られるという側面があるのかも知れない。そこに注目して、業界の流行に乘っていく、あるいはリードしていくということは、商売上当然に良いことだと思う。 そういうふうに商売をアップデートしていくというのが良いことであると同時に、いまやっているスタイルを環境や市場にあわせてアップデートしていくというのも、もちろん良いことである。
流行にとらわれずに自分が好きなスタイルでコーヒー業界に参入して欲しいと思うし、流行の風向きが変わったからって、やってることを変えていくってのが絶対必要なわけじゃない。
ややもすると、新しいもの「だけ」が良いというふうに思ってしまいがちだが、もちろん今あるものも良いものだし、昔からあるものもその昔に流行ったものも良いものは良いのである。 というか、いつの時代にだって良いものとそうでもないものがあって、良いものが良いものであり続ける限りにおいて、それがいつの時代の流行りであったかは関係なく、ただひたすら、良いのである。そういうものを、きっと、本物というのだろう。
自家焙煎店やコーヒー専門店をランキングするヒットチャートは無いが、もしあるとすれば、きっと上位に入るのは「本物」だ。どんなジャンルだって、どんなスタイルだって、競合より優れていて、多くの人に支持されていれば上位を狙うことができる。
もしそんなランキングがあったとしたら、願わくば、一発屋でもいいから僕もチャートインしたいものだ。
※先週の月~水までJHDC(ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ)のジャッジを務めさせていただきました。そのせいでというわけではなのですが、月曜更新と決めているこのブログをお休みさせていただきましたことをお詫びいたします。また、そのせいでというわけではないのですが、週の後半にバタバタしてしまい、その余波で昨日の月曜に更新できず、今日になってしまったことを重ねてお詫びいたします。JHDCの話は予選が全部終わったらネタとして書きますね。かなり面白く、エキサイティングな大会でした。
ホゼさん 大変ご無沙汰しております。
「古臭くても、良いものは良いですね」
僕は丁度 ブライアン・ジョーンズが亡くなって、
ミック・テイラーが加入した辺りの
憂鬱な70年代に入る
ローリング・ストーンズぐらいからの世代です。
当時小学生でした。
一方で、日本の歌謡曲(筒美京平サウンド)や、
ムード歌謡、グループ・サウンズも大好きでした。
昨年末の ザ・タイガースも行ってきました。
もちろん最近の音楽も聴きます、
しかし、50歳を越えてくると
やはり、DNAに深く刻み込まれているメロディを
何気なく口ずさんでいます。
古臭くても良いメロディです。
なんて言ったらいいんでしょうか?
人間の誰しもが持つ嘘とか、飽きることとか、
それらによって伴う寂しさとか 切なさとか、、
おそらく、人類は
なにか目的を果たす為 に
現れているわけじゃないと思いますので、
その時々の想いの瞬間時に
コーヒーを口にしているんだな〜って。
今年はお邪魔したいと思います。
Damselさんこんにちは!
ブログ引っ越ししましたが、相変わらずのお付き合いをいただきましてありがとうございます^^
コーヒー業界もいろいろと新しい機械やスタイル、流行、店舗がいつも出てきますので、目まぐるしいのですが、それでもやはり良いものは残るのだろうと思います。
コーヒーも音楽も、文学も映画もなんでもそうなんじゃないでしょうか。
いつの時代も良いものは良くて、時代が変わっても古いスタイルや流行を「古いからダメだ」と切り捨てられない良さがちゃーんとあるんですね。
そういうものをきちんと感じられる感受性を持っていたいと思いますし、僕の店もDamselさんが来るまで淘汰されずに残ってなくちゃ!と思いますw
いつか、おいでくださいまし。お待ちしております~