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「渋カフェ」を読んだ

渋カフェ」という本を読んだ。
渋カフェ.jpg
出版社の説明によれば、
どちらかといえば渋い感じのカフェだったり、喫茶店だったり……略して「渋カフェ」
だそうだ。
こだわりのあるカフェをジャンル別に紹介している本。
そのジャンルをはじめのほうからいくつか紹介すると、
眺めのいい店
一人で篭りたい
ゆったり空間
一軒家
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となっている。あと特徴的なのは、昭和ゴージャス、とか、看板猫のいる店なんてのもある。
つまり、個性的な店を紹介するってことで、スターバックスやドトールのようなチェーン店の対極にあるカフェがズラズラと出てくる。
全部で112軒とかなりのボリュームだが写真が多く文章が少ないので、のんびり読んでも、スターバックスのすわり心地のいいソファでダブルトールラテを飲みながら30分くらいで一読することができるだろう。
ここに紹介されるカフェは、二通りある。
ひとつは、個性を出そうなんて思ってもみなかったところで個性的になってしまってる店、もうひとつは、個性を出そうとして個性的になっている店である。
たとえば、ポールバセットは、そのカフェ自体に仕掛けは何もないが、あのポールバセットの店という特徴が、ほかのカフェと比べたときの最も重要な差別化となっている。(この本には出てきません。あしからず)
こういう店をカテゴライズするのは難しい。あえて言えば「有名人の店」というカテゴリになるのかも知れないが(そして同じカテゴリにデルソーレ※横山千尋氏やドゥカフェ※波多純子氏が入るのかも知れないが)、かと言ってそういうカテゴライズは無意味だろう。
もうひとつの、個性を出そうとして個性的になっている店というのは、たとえば「和カフェ」(この本のジャンル分けの一つだ)などの形態が特徴になっている店だ。これはツライ。なぜならそこに行かなければならない理由が希薄な上に、似たようなカフェができればすぐに目移りされ、あるいは飽きられてしまうだろうと容易に想像できるからだ。
カフェが「和」である必要が無いのだ。
(逆にカフェが「ポールバセット氏の」店である必要は、おおいにある。なぜなら彼は世界で最もウデの良いバリスタの一人であるからであり、もちろんのことその店のエスプレッソがまずいわけはないからだ)
個性を出すというのは、出そうと思って出るわけじゃなく、顧客にとって良かれと思うことをやり続けると、それが個性になるのだと思う。
だから、スターバックスもそれはそれでアリだろうと思う。いつ行っても若いにこやかな従業員が淹れてくれたあまりおいしくないコーヒーを、ふかふかのソファに座って飲むことができる。1時間も本を読んでても店員の目を気にすることもない。シアトル系カフェであり日本にエスプレッソ(ベースのドリンク)を根付かせたスターバックスの真骨頂は、コーヒー以外のところにあるワケだ。
コーヒーが好き、和テイストが好き、だから和カフェ。
コーヒーが好き、○×が好き、だから○×カフェ。
世の中、そういうカフェが多いような気がしてならない。そしてそういうカフェが「個性的」などとメディアに登場したりクチコミで評判になったりするが、はたしてその「個性」は10年後も色あせないのだろうか。


Published in タメになること

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