ホゼ的今年のコーヒー十大ニュース

年末なんで、今年の総括的なことを記事にしときましょ。
激しく個人的な十大ニュースですのでご注意を。

10位 生豆高騰

高いよ高いよ。もうどんだけ値上がりすれば気が済むのよ。
と泣き言を言いたくなるほどに値上がりしている。僕の印象では、同じようなものが昨年比2割増しくらいになってる感じがする。
当然であるが「じゃあ店頭価格をその分上げるか」なんておいそれとはできないわけで、なんとかいい豆を安く買おうという涙ぐましい努力をしているわけであるが、それでも商売的には厳しくなってきてるんだなあ・・・
でも生豆の値段が上がってるっていう話は今年に始まったことじゃないので、すごく痛い話なんだけどランキングで言えば10位にギリギリでランクインンするくらいなんだな。もう値上がりが当たり前になりつつある・・・

9位 あのコーヒー屋が閉店

あのってどの?って言われると、どのってわけじゃなくて、知り合いのお店だったり有名なお店だったり、近所のお店だったり、超がつくほどの有名店だったり、いろんなお店が閉店した一年だった。
もちろんOMOTESANDO KOFFEEみたいに事情により閉店というところもあるし、まったく違う道へ進むために閉店したという人もいるし、それぞれ状況はいろいろなんだろうけど、やっぱりお店が無うくなるというのはなんだか淋しいよね。
コーヒー店の5年生存率2割ってのはダテじゃないなあ。

第8位 コーヒー行列

今年はコーヒーで行列という話をよく聞いた。
筆頭はブルーボトルコーヒーだろう。
そして東京のいくつかの場所で開催されたコーヒー店が集まっての大規模なイベント。
最先端(?)のコーヒーに並んでいるかと思えば鳥取にできたスターバックスにもずいぶんと行列ができたらしい。そしてその鳥取のスナバコーヒーの期間限定の東京店にも行列。
なんだろうねえ、行列に並んでまで飲みたいかと言われれば、僕はそうでもないんだけど、コーヒーそのものが今の人にはアトラクション化しているのかな。

第7位 えっ!?ということまで教えてもらった

いろんな人にお世話になってコーヒー屋をやっているわけだが、SCAJの委員をやってたりしていよいよ分不相応にいろんな人とお近づきになったりしているわけで、いままでつながりができるなんて思いもよらなかったような人たちと会っていただいたり話をさせてもらったりしているのだが、その中でびっくりすることがあって、けっこうみなさん惜しげもなく聞けばいろんなことを教えてくれるのである。
焙煎の秘訣、抽出のコツ、仕入れから販売から日常の疑問になんでも答えてくれる。みなさん本当に親切である。
みなさん僕より大先輩で大ベテランで、僕が「この焙煎って・・・?」と聞けばたちどころに「これこれこういうことだよねー」と説明してくれる。「こういうことで困ってて」と言えば「それこれこれこうやると大丈夫よー」と解決方法を授けてくれる。コーヒー業界はずいぶんオープンになったなあと思う。昔の話を聞くと皆さんずいぶんと閉鎖的な業界で苦労されたようで、それを経験しているからか、教える義理もへちまもない僕みたいなのにもちゃんといろんなことを教えてくれるのだ。
前からそういうことは感じていたが、今年は特にそれを感じた。大が三つも四つもつくような先輩方からたくさんの教えを乞うことができたからだ。ありがたや。僕もその精神を見習っているつもりだったが、より一層、その思いが強くなった。

第6位 学校の先生になりました

今年、恵比寿にあるレコールバンタンという食の専門学校の講師をやることになった。来年もやるかもしれないけどちょっと来年の話は置いといて。
まったくコーヒーの初心者に近い生徒さんが多く、そういう生徒さんを相手に短い時間でどうやって興味を持ってもらって、どのくらい学んでもらえるかというのは大変にエキサイティングな経験だった。とても難しく、毎週頭を悩ましながらの授業で、毎週教えたいことはたくさんあるんだけど、まず時間が無くそこまで到達できない、そして僕が教えたいことと生徒さんが知りたいことがちょっとかい離している、というわけで、本当に教えたいなあと思ったことはなかなか深く踏み込めなくて、もどかしさがあった。
それでも生徒さんとは良好な関係を築き、コーヒーが楽しいものだということはわかってもらえたかと思う。まずそれがないと、続かないからね。
卒業したあとの生徒さんの行く末が気になるなあ。

第5位 ワイニー

あちこちで見るようになったワイニー。いわゆるワイニーの特徴はおそらくは万人受けするものではないと思っているんだけど、うまくワイニーを起用したブレンドを飲んだときに、なるほど使い方次第ではこの先ワイニーをもっと使ってってもいいかなあと思った。
一般的なドライプロセスよりももっと強烈に腐りかけ感がある(ほかにいい表現がないものか)。発酵食品に
似たような感覚かなあ、苦手な人は苦手なんだろうけど、好きになれば大好きになる、みたいな、クサヤみたいなもんかな。ときどき納豆っぽいワイニーがあったりしてこれは関西ではウケないだろうなあなどと心配になったりする。
ちなみにおいしいワイニーは高い(まあおいしいコーヒーはウォッシュでもなんでも高いんだけど、ワイニーは流行りというのもあるし、希少でもあるので、やや相場が高いなあと思う)ので、これぞという銘柄に当たったときに買おうと思う。焙煎プロファイルの違うもので組み合わせるようなハッとするようなブレンドに使いたいなあ。
しかしワイニーとはよく名付けたもんだ。ハニーといい、なぜか買いたくなるようなネーミング。ついうっかりサイフのヒモが緩んでしまう。

第4位 アナログ回帰

今年のマイブームは万年筆とペン習字なのだが、それと関係あるようでないようで、アナログ回帰である。
実は、第3位にランクされた話とかぶってくるのだが、焙煎にしろ抽出にしろ、最も大事なのは「こんくらい」の感覚だと思う。
タイマーで時間を計る、天秤で重さを計る、ログを取り分析する、そういうことをキチキチとやっていくことで精度はどんどん上がっていく。機械相手には多少の誤差も許されないわけで、ずれた分はきちんとどのくらいズレているかを機械が教えてくれる。
SSEでも計測できるものは基本的に計測をすることになっている。人間より機械のほうが正確だからだ。
しかし、機械にできなくて人間にできることがある。それは判断である。計測装置からのインフォメーションを人間が判断する。それを繰り返すことで、焙煎でも抽出でも「こんくらい」が身につくのである。
エスプレッソならボトムレスのバスケットから出てくる液体を見ながら「液体の粘度による流れかたはこんくらい」とか、焙煎なら「フレーバーを強くしていくにはこんくらいの豆のふくらみから火力をこんくらい上げる」とか、とにかくなにをやるにも微調整は「こんくらい」なのだ。
計測機器の吐き出す数値とにらめっこしながら全てのインフォメーションを体にしみこませていけば、もしタイマーも温度計も天秤も無い状況で「はい、焙煎どうぞ」「抽出どうぞ」と言われてもなんとなくできてしまうものなのだ。
なのだ、と言いながら、僕ができているのかどうかはわからないが、なるべくそうありたいと思ってやっているのでなんとなくそうなんだと思っている(という何とも歯切れの悪い書き方なのはご勘弁)
と思ったら、福岡の豆香洞の後藤さんが同じようなことをブログに書いておられた。後藤さんは僕よりはるかに優秀な焙煎人であり抽出者であるので、僕の話だけでは「ほんとかよ」と眉につばしていたみなさんも安心して「こんくらい説」を信じていただいて大丈夫ですよ(笑

第3位 一発勝負の焙煎でおいしく焼けた

ほとんど初めてさわるような焙煎機で、素性のわからない豆を、指定された焙煎度で焼いてみたら、これがおいしく焼けたんだな。一回だけ、テストも無しの一発勝負の焙煎だったからすごいドキドキした。
で、まったくのブラインドで僕が焼いたのと僕でない人が焼いたものを、コーヒー好きな人、そうでない人、いろんな人に飲んでもらって、僕が焼いた豆のほうが美味しいと全員が支持してくれたというミラクル。
僕としては、いつも焼くように焼いてみようと思って、焙煎機サイズや焙煎方式の違いなどを考えてプロファイルを移行してみたんだけど、いつもはPCでモニタしながら焼いているところをこの時は温度計と時計だけが頼りのヤマカン焙煎、データもフィードバックできない状況でコントロールしていくという難易度の高さで、我ながらプラン通りに上手に焼けて、なおかつブラインドでテストしてもらったみなさん全員一致で僕のカップを選択してもらえたという、これは本当にうれしい話であった。

第2位 会社になりました

6月から、SSEは「ファイブアンドカンパニー合同会社」という法人になった。やってることは何も変わらないけど、卸売りもずいぶんと増えたし、テレビCMが流れるような大企業とのお付き合いもあり、もろもろの事情により会社にしたほうがよろしかろうと判断し、いろいろ悩んで合同会社として法人を設立することにした。
一応、奥さんと僕が会社を代表する人になっており(そう言われると大変にこそばゆいが、俗にいう社長のような人だ)、体裁としてはSSEはその会社の一部門ということになった。
手続きやらなんやらですごく大変だった割に、法人化する前と後で特に何か変わったかと言うとほとんど何も変わらず、まさに大山鳴動して鼠一匹といった具合だ。でも、今年のニュースの中ではかなりのビッグニュースではある。

第一位 5年生存しました

2010年の2月に開業したSSEは、この2月に5周年を迎えることができた。
コーヒー店の5年生存率が2割とか言われているので、2010年に新規開業したコーヒー店のうち8割はすでに閉店しているということになる。そのうち個人店がどのくらいなのかはわからないが、閉店した店舗のうち少なくとも一部の個人のお店は、相当の覚悟と投資をして開業したのだと思う。それがどのような理由なのかはともかくとして閉店してしまったということになる。本当とは思われないほどの厳しい現実である。
SSEは細々と、そしてしぶとく、あるいはのらりくらりと、はたまた頑なに自分の道を歩いて、この5年を過ごしてきた。そして今年も年末を迎えることができて、歳が明けて2月には6周年となる。
長々と今年の十大ニュースなどと書いてきたが、この一位である「5年を無事過ごせました」というのがこの記事のオチである。

本当に本当に、たくさんの皆さんに支えられ、自分たちの力だけではどうにもならないことが何故かクリアできて今日があります。どうしたものか、こんなわがままに自分が良かれと思っていることを誰に阿ることなくやり続けている店がなんと5年も続くことができました。
夫婦二人でやっておりますので、いわゆる「ちゃんとした」お店と思って来ていただくと至らないところばかりで大変申し訳なく思います。しかし、コーヒーを通してお客様や関係の皆さま、応援いただいている皆さま、ひいてはSNSでつながっている方やこのブログの読者の皆さんにも、毎日の生活の中にすこーしでも良い方向で働きかけられればと思っていまして、そこを少しでも感じていただけているとしたら、僕たちの想いはきっと届いているんだなと思います。根本は、そこです。
ロゴのポルタフィルタのバスケットの中(そこにはコーヒーの粉が入っています)から芽が出て大きく育って枝を張り葉が茂り花が咲き実をつける。その実が種を播きまた新たな芽が出て・・・という想いでコーヒーを焼き、カップにし、豆を売っています。でも、僕らが本当に提供したいのはそういうプロダクトたちと、コーヒーがあるしあわせ、なんです。

どうぞ、また来年もよろしくお願いいたします。


2 thoughts on “ホゼ的今年のコーヒー十大ニュース

  1.  あけましておめでとうございます、以前、Oscarの件で助けていただいたarという者です、久しぶりに覗いてみました。
     もうすぐ6周年おめでとうございます。
     やはり生き残ってますね、ホゼさんのような良い意味でコーヒーバカは長生きすると思いました、これからも増々コーヒー道に励んでください。期待しています。

    • Shigeru Jose Sugiuchi

      arさんこんにちはー。
      もうすぐ6周年なんですよ、早いものです。
      コーヒーバカとして、これからもバカっぷりを発揮していきたいと思っているのですが、なかなか仕事が忙しくなり、ブログの更新が滞りがちで読んでいただいているみなさんに申し訳ない感じです。そこだけが気がかりで・・・
      しかし、元気にやっておりますので、またときどきブログを覗きに来てくださいねー^^

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