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小さい焙煎機で知る「水抜き」の話

小さい焙煎機、サンプルロースタークラスの話だけど。
よく焙煎で聞くキーワードに「水抜き」というのがある。
コーヒーの生豆は平均すると水分を12%ほど含んでいる。そして、焙煎が終了したコーヒーはおよそ2~3%の水分量だそうだ。つまり、約10%の水分が、焙煎することにより蒸発してしまうことになる。そのほかにたんぱく質や炭水化物など、焙煎途中にどっかに行ってしまうものや変質してしまうものがあるので、実際には15~20%ほどの重量減になる。
さて、焙煎中の水分の放出について調べると、たいていは「100度を超えると水分が蒸発し始め」と書いてある。理屈ではそうなんだけど、釜内の温度(豆温)を見ながら排気口に手をかざしていたら、100度ですぐに水気が出てくるわけではないことに気付いた。
センサーの当たる豆の表面温度が100度になったところで、豆の内部はまだまだ冷たいままだ。そりゃ水気は出てこない。ためしに豆温が100度を超えたあたりで取り出して割ってみると、確かに中は冷たいままだ。
さて、それでは水分はいつ出てくるのかと言うと、130度くらいからじんわり出てくる感じだ。しかしこれもプロファイルにより前後してしまい、温度上昇カーブを急にするともう少し後ろ、緩やかにすると前になる。つまり、豆の中のほうの温度が何度かってことも、水分の蒸発の要素なのだろうと思う。
これは水分計などというような高級なセンサーを使用しているわけではなく、手をかざすという原始的な方法をとっているため、じんわり出てくるというのは手をかざすと湿気を感じるという意味である。そして、水気の大小は手の湿り具合で判断している。
温度の上昇が水蒸気により妨げられ、釜内の温度が上がりにくくなる。そして150度くらいからバンバン水分が出てくる。加湿器のノズルくらいの勢いで出る。まだ焼けるという温度ではないため、このときに白っぽい排気になるのはほぼ100%水蒸気である。それで白く見えるくらいなんだから、よほど水分が出ているのだろう。手に汗をかくくらいである。
しかし水蒸気が猛烈に出始めると、収束は早い。ファーストクラックになるまで、水気とのしばしの別れだ。
190度を迎えるころ、パチパチと音がしてファーストクラックが始まる。そのときには、あまり水分は出ていない。本格的にハゼはじめると水気がドバーっと出てくる。このときの排気の水気は、さっきの水気と違い、なんか別の成分を伴っているような匂いだ。ファーストクラック時の水の出所は、最初の豆全体(主に表層?)の水気と違うのだろうか。
そして、パチパチという音が収束するとともに、面白いくらいに水気が出なくなる。
ちなみにセカンドクラックのときにはあんまり水気を感じないから、ファーストクラックが終わればだいたい水分は2~3%くらいになってしまっているのだろう。
おそらく、最初の水抜きの段階では豆の中の水分はすべては抜けてない。ファーストクラック前後でちゃんと重量が変わるのが何よりの証拠だ。
よく諸先輩方が水抜きが大事というが、ファーストクラック時の水の抜けというのはどう捉えられているのだろうか。
ファーストクラックは、セカンド水抜きでもある、と思う。
水抜きに何分かける、という話をよく聞くが、ファーストクラックに何分かける、という話はあまり聞かない。
(注意:ファーストクラックからセカンドクラックまでの時間の間隔ではなく、ファーストクラックの始まりから終わりまでという意味)
あんまり意味ないのかなー。
コーヒーの生豆が持つ水分は、焙煎中に抜けていく。焙煎機の排気口から出て行くに違いないので、そこに手をかざせば、水がいつ、どれくらい抜けているのかわかるはず、という超小型焙煎機ならではのお話でした。


Published in 焙煎

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