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カッピングで大事なこと

このブログで何回もお話しているカッピング。
最近、ちょっとカッピングで気になることがあるので、書いておく。

そもそも発端は、いつもお世話になっているコーヒーファクトリーでカッピングをしていたときのこと。
とあるカップに関して僕はどうも「好きじゃない味がする」と思っていて、ほかの全員は「これは美味しい」と思っていた、というシチュエーションがあった。
僕のカッピングの感想は「スコアは高いと思うけど好きじゃない味だ」という感じ。クリーンであり、特徴的な風味を持ち、明るい酸がある。悪くない、というかむしろ良い。しかし「好きじゃない」。
ほかのみんなは口をそろえて「これは美味しい」と言うわけで、僕一人が反対側の立場になってしまった。そこで、何が好きじゃないのかというのを、検証してみた。
まず、どの部分が好きじゃないのか、切り分けてみる。嫌いな部分は「油っぽさ」。油が酸化したような味を感じるのだが、では酸と油を分けることができないかというと、どうも酸はグレープっぽい。酸を取れば油だ、油にグレープの風味があるとすれば、おおそれは「グレープシードオイル」ってそんな感じ。
適度な油分を感じるのはクリーミーというようなマウスフィールであるし、グレープはもちろん果実の酸である。どちらもポジティブだ。しかしそれを酸化したような油とすればネガティブである。ただしコーヒーの風味にはもっと複雑にたくさんの香味成分が紛れ込んでいるため、単純にその部分だけで判断することは難しい。グレープとオイルというのが、ほかの香味成分に影響されて(あるいは混ざって)判断を難しくさせるのだ。
結局、カップの底に掬える液体が無くなるほど啜って、侃々諤々の議論の結果、僕の捉え方がどうも間違っているというようなところに落ち着いたわけだが(捉え方が間違っていたのは問題だが!)、この件で僕が学んだことに、今までカッピングについて書いたことの内容を加え、箇条書きにして書いてみる。そのうちいくつかは皆さんにとって既知のものかもしれないし、おさらいのような話かもしれない。でも、もう一度、カッピングについて考えてみるのもいいと思うので、お付き合いください。
1.カッピングは目の前のカップに対する評価である
85点という点数は、その日、そのカップに対する評価である。そのコーヒーがいつでも85点であるということではない。
2.カッピングで出した点数は相対評価である
あくまでもその場限りの評価であり、その場にいるみんなの中のあなたの評価である。もちろん、それが正解とか不正解とかではないし、その評価が別の日には違う結果になることもある。
3.基準が無いと評価の正当性が薄れる
あなたのそのカップの評価がきちんとなされているかということを確認するためには、基準となるべき何かが必要となる。いわゆるカリブレーションをするか、あるいは事後にお互いにカップについて議論するようなシステムが望ましい。
4.カッピングは勝ち負けではないし、多数派が正解ということでもない
あなたのその日のその場のそのカップの評価を記録する(場合によっては発表する)場であり、完全に個人の裁量によって評価してよい。こんなこと言っていいのか?という心配は無用。
5.とは言え、間違っていることもあるので、誰か間違いを指摘できる人がいないと困る
矛盾するようだが、カッピングに正解は無いのだが不正解はある。不正解をチェックできないと、そのカップに対する評価そのものが明らかに間違ってしまうので、困る。不正解はなるべく排除しつつ、多種多様な意見が出たほうが良いので、間違いを指摘できる人がいたほうが良い。
というわけで、カッピングって、やっぱり誰かとやる機会を持ったほうがいいなーと思うわけである。
それも、ある程度できてる人とやらないといかんなーと思うわけである。
※焙煎の違いによるカップの影響を確認する、などのカッピングはもちろん自分だけでやっても良いと思う
※一人カッピングもトレーニングとしては有効であると思う
※できる人も常に意見が合うわけではないので、いろんな人とカッピングするといいと思う
※できない人同士でやると迷宮にハマると思う
※点数を気にするより、フレーバーがどれだけ取れてるかを気にしたほうがいいと思う


Published in エスプレッソ技術

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