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メニューにコーヒーしか無いお店

ちょっと所用があり仙台に行ったのだが、そこで面白いカフェに出会った。
イワサコーヒープロダクトという自家焙煎のカフェだ。
(このお店、ウェブサイトやブログというものが無いようなので、大変不本意ながら食べログのURIを貼っておきます→http://r.tabelog.com/miyagi/A0401/A040101/4005649/

このお店、いろんなところが普通じゃなくて面白い。
まず、コーヒーを注文したいのだけどメニューが無い。その代わり店主に「コーヒーはどんなのがいいですか?苦め?酸味のあるの?」と聞かれ、えーっと酸味のほうで、などと答えるとそれに応じたコーヒーが出てくるという仕組み。
更に言うと、コーヒー以外の飲み物が無いので、コーヒーでないものは飲めませんw
そしてほどなく目の前に丁寧にハンドドリップしてくれたコーヒーが出てくる。テーブル(カウンター)の上には砂糖もミルクも無い。ストレートで飲むのだ。
小腹が空いても食べ物も無い。オヤツもデザートも無い。
よくまあこれだけ無い無い尽くしでお店が成り立つものだと思うのだが、ここの魅力は、ハマる人はとことんハマるというような間口の狭さと店(と店主)の個性にある。
宣伝もほとんどしていないということだが、大都市仙台の繁華街(三越のすぐ裏手だ)にありながらも、この店は隠れ家的というより本当に隠れてしまっているような印象さえ受ける。ひっそりとたたずみ、控えめに営業している。
看板が目立たず、コーヒーを売る店であると知られることを拒否しているかのような店構えが本当に潔くて素敵だ。
この店のメニューにはコーヒーしか無いが、つまり本物のコーヒー専門店なわけだが、しかしながらコーヒーを押し付けがましく飲ませる店では無い。
むしろ店主の差し出すカップには気負いが感じられず、コーヒーを賞味するだなんて無粋なことはやめとくれ、とでも言いたそうな店主がカウンターの中にいた。
それでいてここのコーヒーは美味い。砂糖もミルクも無いのだが、それで不満が出ることは無かろうと思う。

イワサコーヒープロダクトは、もう13年もやっているのだそうだ。
入れ替わりの激しいカフェ業界にあって、13年は充分に古株だと言っていいと思う。
巷では今、モーニングをやるカフェが流行りだそうだ。ランチメニューは専門店顔負けというカフェも多いし、夜はバールに化けるというカフェだってたくさんある。猫カフェドッグカフェ雑貨カフェ、和カフェメイドカフェネットカフェ。
カフェという業態の間口の広さは驚異的である。
しかしながら、ミルクも砂糖も無いコーヒーだけを提供するという間口の狭いカフェがある。そしてそのカフェは仙台の街に根付いて13年も繁盛しているのである。


Published in カフェ屋さん

2 Comments

  1. 珈子 珈子

    ウワ~!娘が仙台にいますので今度行った時探してみます。
    分かるような気がします。
    私はカフェ開業希望ではないのですが、コーヒー好きがいつでも自分で焙煎できたり、飲んだりできるホビー空間を作りたいと思っています。
    ほんとのコーヒー好きが鼻をクンクンさせてたどり着くくらいのお店にしたいです。
    手網から電気、ガス(カリビアン、煎ったろうをカスタマイズ、富士1k)とおよそ家庭で出来る範囲の焙煎機がいろいろあります。それは私がたどったコーヒーの道でもあります。それぞれ興味の度合いによってコーヒーへの関わりを選べます。それと自転車が趣味なので自転車好きの人が集まりちょっとした作業が出来ると良いなあと思います。
    想像するのですがホゼさんも今のご自分のコーヒーに関わる全てをとても愛していらっしゃると感じます。長く長く愛着を持って育てて行くことは生きている証しではないかなぁと思ったりします。とても共感するコーヒー屋さんのお話でした。

  2. ホゼ ホゼ

    珈子さんこんにちは!
    是非仙台の街の中にあるこのカフェを探し出してみてください(^ ^)
    さて、愛着という言葉で表現されてましたが、ここの店主にとってのこのカフェはまさに愛着がある、という表現がピッタリな気がします。
    珈子さんもコーヒーを焙煎したり飲んだりする場を作りたいと言う。同じことなんだなと思いました。
    コーヒーそのものだけではなく、もちろんお代に頂戴するお金だけでもなく(笑)、コーヒーとそれを提供する場を愛して育てているからこそ、人を惹きつけるのだろうと思います。
    僕は以前より、コーヒーはカップの中の液体を味わうだけでは無くその雰囲気も一緒に楽しむものだとおもってます。その意味でも場を作り愛するというのは、良いコーヒーを淹れるのと同じかそれ以上に大切なんじゃないかと思います。

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