最近、扱っているコーヒーに「レインフォレストアライアンス」の認証を受けているものがあることに気がついた。
>>レインフォレストアライアンス
レインフォレスト・アライアンスは、森林伐採や環境破壊の主な要因となる材木生産、農地拡大、牧場運営、観光業などに歯止めをかけるため、市場原理を利用しています。数十万ヘクタールに上る産業森林、農園、牧場、ホテルなどが、持続可能性の厳しい基準に則って運営されていることを確認するために活動しています。さらに、レインフォレスト・アライアンス認証マークやレインフォレスト・アライアンス検証マークを見て商品やサービスを選んでいる良識ある消費者を、これらの事業者と結び付けることにより、持続可能な事業運営のあり方が今日の経済において成長力となり得ることを証明しています。
レインフォレストアライアンスの認証を受けるには、それなりに費用がかかるそうだ。現地での調査費用や登録料など諸々の費用をかけて認証を取るわけで、当然、価格にはそれが上乗せされることになる。
コーヒーに関わる認証の類は様々あって、調べるとここに書ききれないほどであるが、代表的なものを以下に記す。
>>フェアトレード
>>バードフレンドリー
>>グッドインサイド
>>有機栽培
そのほかにもいろいろあると思う。生産者はこのような認証を取得することで、取り組みや品質に一定の保証を付けてもらうわけだ。
認証を取るからには、その認証団体の調査を受けて、ちゃんと基準をクリアしていることを見てもらわないといけないし、取得後もときどき調査を受けて継続的に基準から外れてないかチェックしてもらう。
すなわち、そのマークが商品に付いてればそれは、認証団体の定める基準は確実にクリアしているということが担保されてるわけだ。
しかし、それら認証が生産者に必ず良い影響を与えるというわけではないという議論がある。
[フェアトレード 問題]とかのキーワードでグーグル検索すると、たくさんの「認証って本当に良いことなの?」という立場の人の話が読める。
それに対する僕の立場は、どちらとも言えない、というものである。
実際に僕が調べたり見聞きした限りでは、団体の設立の目的はとても良いことを実現しようとしており、活動も良い面をたくさん持っていて、生産者のためになっているという場合が多く、否定するべきことではない。
しかし、それら認証が生産者や消費者のために100%役立っているかというと、中間に入っている人たちが悪さをしたり、生産者もズルをしたりなどなど、問題もあるようだ。もともと認証があるから問題が発生したとすれば、認証が無くなれば問題も無くなるというロジックは納得できる。
というわけで僕は「認証があったほうがいいか無いほうがいいかは難しい問題だなあ」と思うわけである。
僕たちコーヒー好きがコーヒーを買う時にフェアトレードなどとシールが貼ってあれば、「ハハァこれは僕の購入代金の一部が生産者の懐に入るわけだな」などと考えてそのコーヒーを買ってくるわけである。
レインフォレストアライアンスというシールならば「森林伐採について基準をクリアした農園なんだな」などと考えるわけである。
ほかの認証でも同じことだろう。それぞれの認証の目的はそれぞれ違うものだろうが、大きくは「コーヒー生産が持続可能で自然や人類への負荷が少ない」というようなところが根本の目的だと思う。つまり購入する僕らはそのコーヒーを、「持続可能で自然や人類への負荷が少ない」という付加価値と一緒に買ってるわけだ。
ところがそれら認証を「ウソだ」「問題がある」「生産者のためにならない」「美味くない」「消費者をだましている」などと言う人がいる。それらの意見が妥当かどうかは僕には皆目わからないし、誰も証明できないと思う。(それほど、認証にまつわる話は広大で深く複雑だ)
しかしながら、コーヒー生産が持続可能であることは、生産者にとって非常に重要な話だ。(もちろん消費者にとっても)
また、コーヒー生産が自然や人類に対し低負荷であることも、生産者にとってこれまた非常に重要なことだ。(もちろん消費者にとっても)
認証そのものがどうであれ、コーヒー生産が持続的で自然や人類に負荷が少ないということはとっても重要なのだ。繰り返しになるが、僕らは認証に対して選択しお金を払っているのではなく、その目的(がちゃんと果たされていること)に対し選択をし余分にお金を払っているわけだ。
では僕らコーヒー好きが焙煎店やインターネットでコーヒーを買うときに、カフェや喫茶店でコーヒーを飲むときに何を選択すれば良いのだろうか? 認証がついたものがあれば無条件にそれを選択すべき?
僕はそうは思わない。
「スピード出すな」という警告の看板はスピードを出しがちだが見通しが悪いようなカーブで見られる。それは文字通りそこでスピードを出すと危険だからだ。
認証はその理屈を裏返しにしたものだ。スピードを出したら危ないカーブで、スピードを出さなかったら認証をあげますよ、と言っているのだ。
本来コーヒーは持続可能で自然や人類に負荷をかけないように作ったほうがいいに決まってる。しかしコーヒー生産地は見通しの悪いカーブみたいなものだ。ついうっかり持続不能になるような作りかた売りかたをしてしまったり、自然や人類に負荷がかかるような薬品を使ったり農地拡大してみたりと、曲がりきれないスピードでカーブに突っ込むようなことをしてしまう。
そういう生産者が、優れたプロダクトを作ると思うだろうか。僕は思わない。優れたプロダクトを作る生産者は、認証を取るかどうかは別にして、持続可能で自然や人類に負荷をかけないような生産活動をしているはずだ。優れたプロダクトを継続して生産し続けることができる生産者は、優れた生産者であるに違いない。
さて、世界の大部分は市場原理に基づいて動いている。コーヒーは嗜好品であるからして、そのコーヒーが美味しいというのが購入者にとって大きな要素になるのは間違いない。美味しければ、購入希望者が増える。そうすると高値がつく。生産者は美味しいコーヒーを作れば、たくさんの代金を得ることができる。逆に美味しくなかったり安全でなかったりというコーヒーを生産したら、手元に来るお金が少なくなる、あるいは売れないということもあり得るということが容易に考えられる。
美味しく、持続可能で、自然や人類に負荷の低いコーヒーを生産することは大変だけど、長い目で見ると生産者にとって最も理に適った行動である。
というわけで、このような三段論法が成り立つ。
大前提:優れた生産者は、持続可能で自然や人類に負荷が少なく、且つ美味しいコーヒーを生産している
小前提:消費者は市場原理に基づき流通しているコーヒーを買う
結論:美味しいコーヒーを購入することが、優れた生産者を選ぶことに繋がる
認証などに頼らずとも、消費者が取り得る最も合理的な生産者のためになる購入方法があった。
財布の中身と相談して、今買えるもっとも美味しいコーヒーを買う、これが合理的に考えてもっとも生産者のためになる購入方法だ。
自分の五感を働かせて、美味しいと思うコーヒーを買おう。できれば、今、財布が許す限り良いコーヒーを買おう。それが生産者のためになるのだから。
こんばんは
はじめまして。
エスプレッソが大好きなんですね。
とても興味深く読ませていただきました。
Damselさんこんにちは!
エスプレッソが好きです。ロングブラック、カフェラテなどアレンジドリンクも好きです。
コーヒーに関する記事をアップしてますんで、また読みに来てくださいね^^